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【詩】遠い空の下

あなたの便りが 最後にきたのは
何年前だろう 今どうしているのか 
噂さえ聞かない

行き交う人波 飛び交うクラクション
あなたがいた頃と 変わらない街に
僕はひとりでいる

僕より年上で だれより綺麗で
優しかったあなたは 僕の想いにだけ
気づかないふりしてた


たった一度だけ あなたのほそい肩
ふざけて抱きしめた あなたは腕のなかで
無邪気に笑った

いきつけのBARへ ふたりで出かけて
夜中まで飲んだ あなたの前では
弱音をこぼせた

少しおしゃべりで だれよりお洒落で
眩しかったあなたへ 僕の想いはきっと
届くと信じてた


あなたが恋人に プロポーズされたと
噂が流れて あなたは春の街を
彼と出ていった

遠い空の下 あなたに便りが
もしも届くなら 言えなかった想いを
すべて綴ろう

僕より年上で だれより綺麗で
優しかったあなたに 出会えてよかったと
だれより愛してたと




☆☆ミニ作品解説とおしゃべり☆☆

この作品は20年くらい前に書いたものです。当時つけたタイトルは「Lady」でした。
今のようにLINEが盛んではなかった時代なので「便り」という言葉が出てきます笑。
片思いをしていた主人公は立ち止まったままの自分の気持ちにゆっくりと向き合っています。やがて歩き出すかもしれません。

ところで
「便り」を「LINE」に置き換えて作品を読んでみるとどうでしょう。
…作品全体のイメージがなんとなく変わりませんか。
言葉の重みを感じます。

 



※こちらの作品はstand.fmにて2023年3月に私、松本が朗読しています。
よろしければ「声」でも聴いてみてくださいね。

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