ハンス

魔の山からど田舎へ、どでかいオイヌサマと奇妙な本を崇める無能ルンペン。

ハンス

魔の山からど田舎へ、どでかいオイヌサマと奇妙な本を崇める無能ルンペン。

マガジン

  • ポオ

    ポオの物語

  • オイヌサマ

    ぼくの神さま物語

  • ビュッヒャー

    無能中年を作るもの

最近の記事

台無シナ者

「こいつ、しつこくね?」 ぼくは鬼軍曹だ。 無能なサルのくせに他者に厳しいのだ。 ぼくはリルとポオを引き連れてゆく。 リルは、フラットコーテッドレトリーバーもどきのようなイヌで、「トッテコイ」はもちろん、こちらの望むことが解るし、すんなりやってくれる。 ポオは、野生児だ。 ネコのようなイヌである彼は狩は得意なれど人間の言うことをいちいち素直に聞いてくれるほどサービス精神が豊富じゃないのだ。 ポウくんと似て、「気分」が第一なのだ。 そんな彼らを並べて遊ばせる、口笛でピ

    • タカル者

      「ブンブンブンブンブンブンブンブン」 アツイ、アツイ。 暑すぎるんだ。 ぼくは暑さに弱いらしい。 この炎天下に出ただけで頭痛、眩暈、吐き気がひどい。 目の前が黒くなったり白くなったり幾何学もようなサイケデリックになったりだ。 「歳なんだ。。。」 そう、ぼくはもう歳だ、のうのうと40年以上も生きやがった。 一見、屈強そうだが血圧は低いし、血も足りてないらしい。 それなのに汗は大量に放出される。 頭ん中、カラカラなんだ、脳髄がヒンヤリする。 日陰にいれば頭痛は起きないゆえ

      • 寄生サレル仔

        「君、お尻からなんか出とるよッ!」 寄生虫。 ぼくは昔からこいつらに何となく惹かれていた。 不可思議な生態、奇妙な行動、そして何やら怪しいその容貌に。 ぼくが初めて寄生虫に興味を持ったのは20代の愉快なフリーター時代のことで、ブラブラ働きながら毎夜飲み散らかしては好きな本を読んでいた。 本屋のバイトから、出版社の契約社員になったぼくは雑用をしながらいつだっていろんな本に出会えた。 藤田紘一郎、愉快な寄生虫博士。 先生の書く、楽しくも勉強にもなる寄生虫エッセイは当時のぼく

        • 原始ノ者

          子狼は走る、ぼくの前をピョンピョン跳ねるように。 子狼は走る、ぼくの横をサーサー滑るように。 ぼくは、彼を好きになってきたのだろう。 彼がきて3ヶ月が過ぎた。 ものすごく長いように思うけど、まだたった3ヶ月なんだね。 彼は少年になった。 ヨチヨチピョコピョコと子兎のようだった彼は二倍以上に成長した。 彼らと出会ってぼくは、走るのが好きになった。 もともと走るのが好きなわけがない、ぼくはネクラなオタクなのだ。 けれど彼らと散歩に出ると走らずにはいられなくなる。 ぼくらはひと

        台無シナ者

        マガジン

        • ポオ
          18本
        • オイヌサマ
          57本
        • ビュッヒャー
          52本

        記事

          価値アル者

          「進路、決まった?」 「あの人、教育論でマウントとってくる」 と、女子たちはイラついている。 あの学校は上だとか、あの学校はすごいとか、ぼくには「進路」なんて関係ないから話の「外」で、ぼくはちと考える。 「どの学校を卒業したか」というのはひとつの「価値」になるのだろう。 その価値を選ぶ理由は何だろう?そしてその価値を欲しがるのは誰だろう? 当の子供なのか、はたまた親なのか、就職先の面接官か、いったい誰の価値だろう? 「まだ遊びたいから」という子供に大枚叩いて大学へやる親

          価値アル者

          邪魔ナ者

          「こいつさえいなけりゃいいのに」 うちにはイヌが、いる。 イヌが、2頭もいる。 ひとりははリルという名の闇のメス、27kg、2歳。 ひとりはポオという名の子供、20kg、4ヶ月。 こいつらの関係性が最近どうかと怪しんでいる。 リルが2歳で2ヶ月のポオが家に来た。 彼女は母性本能を刺激され、彼と遊び、彼を守り、彼のウザさに耐えた。 しかし、彼ももう4ヶ月を過ぎ、赤ちゃんとは呼べなくなった。 すると、リルの様子が変わってきたように見えた。 ポオはウザい、そう、子供はうるさい

          ブラッド・メリディアン コーマック・マッカーシー

          Blood Meridian Cormac McCarthy 「エト・イン・アルカディア・エゴ」 ー私(死神)は、楽園にもいるー 「死とはなんだと思うかな、君(マン)。」 人間様は、いつだって戦争している。 人間様は、いつだって破壊を望んでいる。 「戦争は神だ。」 この地球上で類を見ない獰猛で血に飢えた「人間」という生物をどう考えるか。 この物語は事実をもとに語られているらしい。 1846年の米墨戦争後の話らしいけど、アメリカで誰も語りたがらなかった闇の歴史が語られ

          ブラッド・メリディアン コーマック・マッカーシー

          怒ル者

          「あなたは動物を飼わない方がいいですよ、きっとすぐ殺しちゃうから。」 ぼくは、動物に好かれない。 動物に好かれることを望む人は多いだろう、自分は動物に好かれていると自負する人も多いだろう。 けれど、ぼくは知っている、ぼくが動物に好かれないってことを。 ぼくはけっこう前から動物に興味があり、公園のツミ(小型のタカ)を観察したり、カエルやイモリやヤモリを飼ったりしていた、むろん子供の頃には家にゴールデンレトリーバーとネコが2匹いたりした。 けれど、ぼくがそれらの動物たちに

          恐レル仔

          「この子供は何がそんなに怖いんだろう?」 ポオはウンコを漏らしている。 せまっこいチム(ぼくの愛車)の中はウンコ臭に満ちている。 リルはウンコを踏んでいる。 それを至る所に飛ばしている。 そうして、ポオはゲロを吐く。 本日、ぼくらは「幼稚園」へゆく。 ぼくらの子供を連れてゆくのだ。 知らない子と会って仲良くなる方法を学ぶのだ。 ぼくらのど田舎では「大型犬の子ども」は少ない。 もしかしたら、日本全域でも少なくなったのかもしれない。 ぼくらはチャーくんも誘った。 彼はすで

          光ヲ放射スル者

          「いったい何を見ているんだい?」 隣人が怪我をした。 骨!? 骨なのか!? 急いで家に帰ると、彼は普通に歩いていた。 へーーー。 骨ではなかたようだ。 けれど、大事をとった方がいい。 今日の群れ散歩はナシとな。 というわけでリルは嬉しげなパパに連れられて行ったとな。 ポオは泣いている、リルの姿が見えなくて。 このようにやたらと絆が深まりすぎのふたりにはいい機会かもしれない。 ボクはハーネス片手にポオを呼ぶ。 来ない。 ここんとこ「ハーネスを着ると車に乗せられる」と学習

          光ヲ放射スル者

          中性的ナ者

          「『性』とはなんだろう?」 誰かぼくに教えてほしい、人間様の目的を。 有性生殖を行う生物には「性」がある。 より多様な遺伝子を残し、あらゆることに対応できるようにして絶滅を防ぐためのなのかもしれない。 ぼくらは有性生殖を行うタイプの動物で、「性」を持っている。 けれど、人間様はその「性」をさらに複雑化している。 ぼくはミミズを飼っている、彼らは有性生殖者なれど、雌雄同体なので、オス・メスの区別がない。 「ミミズはいいな」 ぼくは思う。 見た目も生き方もシンプルで。

          中性的ナ者

          人見知リスル者

          「ずいぶんとシャイになったじゃあないか」 ポオは4ヶ月を超えた。 彼はもう赤ちゃんではない、少年になった。 少年は、人見知るようになっていた。 今まで会っていた人や遊んでいた子供(ニンゲン)に不安を抱くようになっていた。 うちに来たばかりの3ヶ月にならない頃は誰に対しても明け透けで、見知らぬ誘拐犯でしかないぼくらにもすぐに打ち解けたさ。 その頃うちに遊びに来てくれた5歳〜7歳のニンゲンの子供らとも楽しく追いかけっこして、むしろ同類意識を感じるのか5歳の子について回ったもん

          人見知リスル者

          草ヲ刈ル者

          「草刈りサイコーッ!!!」 ぼくんちは貧乏だ。 けれど、心の優しい地主様が土地をタダで貸してくれおる。 ゆえに庭が結構広い。 夏、そこは草どもで覆われる。 ぼくは雑草が大好きだ。 こいつらのおかげで土が潤うかと思うとありがたい限りだ。 そうしてミミズや微生物どもの餌やりと、うちのケモノどもに楽しい遊び場を提供するためにぼくは「草刈り」をするのだ。 ぼくは草刈りが大好きだ。 おもちゃのようなへっぽこ草刈り機でブンブン草を薙ぎ倒す。 へっぽこなれど十分切れるこいつは掃除機の

          草ヲ刈ル者

          我ノ強イ仔

           「おまえはハンターだねえ!」 ぼくは盛り上げる。 ポオは、もうすぐ4ヶ月だ。 体重は13kgになった、けれど、まだまだチビタだ。 彼のケツは手のひらサイズでまだまだボリュームにかける。 ポオは、ポウくんに全然似てない。 見た目も、性格も。 けれど、彼らの遺伝子が伝える何かが本当に似ているのだ。 ポオはセミを狩る、ポウくんと同じように、リルはまるでしないのに。 この時期のセミは死にかけで地を這っているゆえお子様でも容易に狩れるのだ。 「ジジッ」 と断末魔の声を発し、

          我ノ強イ仔

          笑ウ者

          「ぼくらはパックだ!」 どうしてイヌと暮らしたいのか? ぼくは思う。 この地球には恐ろしいほどたくさんの人間様がいて、彼らの思惑はそれぞれだ。決して他の人間と100%わかりあうことはないだろうて。 人間様はイヌを飼う。 恐ろしく昔から、今もなお。 イヌを欲しいと思う時、ヒトはイヌに何を望むろう? いつからかぼくは、イヌが欲しくなった。 ぼくは、コンラート・ローレンツに憧れた。彼とイヌとの関係に胸トキメかせた。 ジャック・ロンドンが大好きだった。荒野で生き抜くことの残

          「物」ナ者

          2024年7月23日 「イヌは日本の法律では『物』なんですよ」 ぼくはネクラで世間に疎いため、人との話題に困る時がある。 そんな面倒くさいコミュ障の中年に気を遣った新人さんがぼくにぼくの好きそうなイヌの話題をふってくれた。 彼女は立派にナンニンカ(こういったぼくのちゃんと人の話を聞いていない適当さがいけないのだろう)のお子さんを立派に育て上げたママさんだ。 彼女はお子さんを心から愛しており、いつだって抱きしめてやるという人間愛に溢れる人で、人間嫌いのぼくは彼女を不快にしな

          「物」ナ者