魔女の宅急便の疾走感がたまらない
子供の頃からもう何度見ているかわからない。録画保存したものもあるのに、金曜ロードショーで放映されるたびにまた録画して観ている。名作揃いのジブリ作品の中でも魔女の宅急便は疾走感部門でぶっちぎりの第一位だ。
まず、魔女修行への出発を今夜と決めて迷いなく飛び立っていくところから疾走は始まっている。13歳の娘が、今夜から修行にでると突然宣言して、せっせと準備して旅立つ、ご両親の心情を思えば、まだたった13歳のかわいいひとり娘がでほうきに乗って知らない街に行ってしまう(しかも行き先はまだ決まっていなくて自分でこれから見つけるのだ)なんて、心の準備に時間がかかる。魔女界のしきたりで娘が生まれた時からいつかはと考えていたとはいえども、せめて2カ月くらい前に予告しておいてくれたら、少しずつ覚悟は固まっていくだろうけれど、いくらなんでも今夜って。というこちらの心配をよそに、ご両親は爽やかに娘を見送る。疾走家族!
ユーミンの歌もいい。
バスルームにルージュの伝言を残して男の母親にその浮気を報告しに列車に乗った女の気持ちをこんな軽快なメロディーに乗せてかわいらしい歌詞で歌い上げた若かりし日のユーミンの末恐ろしい才能に脱帽。そして、この曲をキキの魔女修行の出発の音楽に選んだジブリのどなたかのセンスに(被りなおして2度目の)脱帽。
キキがほうきをうまく操縦しきれなくて、ぶつかりそうになったりひっくり返ったりしながら進むさまは、「おいおいぶつかっちゃうぞ、、」「あぶなーい!」と冷や冷やしながらも、たまらぬ疾走感。とんぼの自転車の後ろに乗せられて猛スピードで飛行船を見に行くシーンでもさらに疾走感は高まる(危険運転でつかまるぞ)。
キキはいつもほうきに素で(つまり座布団とかクッション性のものを使わずに)乗っているので、トンボが自転車の後ろの席にクッション性の何かを設置してくれていたことで、ほうきにもクッション性の何かを設置すれば快適に乗れるわ、と気づくかと期待をするけれども、キキはその後もほうきに素で乗り続けるので我慢強い。絶対長時間の走行には苦痛を伴うと思うんだけどな。ま、それも修行のうちか。
ジジがぬいぐるみになりすましている時に、犬のそばで滝汗を流すシーンが大好き。子供の頃はなんとも思わなかったシーンでも、大人になって改めて見るとジブリの芸の細かさに気づいて感激する。
そんなわけで今回も最高の魔女の宅急便だった。ヤマト運輸株式会社では、「今夜は金曜ロードショーで魔女の宅急便が放映されます。うちとも所縁の深い作品ですから、ぜひ皆さんもご覧ください。」なんていうお知らせがあったりするのだろうか。
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