「和光同塵」って言葉ご存知ですか?
私たちは1人の例外もなく、「よく見られたい」という願望を持っています。
個人差はありますが、人間の真実でもあります。
そこで思い出したいのは、和光同塵(わこうどうじん)という言葉です。
辞書によると、こうあります(goo辞書より)。
自分の才能や徳を隠して、世俗の中に交じってつつしみ深く、目立たないように暮らすこと。
「和光」は才知の光を和らげ、隠すこと。「塵」はちりのこと。「同塵」とは塵が乱れ飛ぶこの俗世間に交じわりつつ、合わせること。
元々は古代中国の古典「老子」から出た言葉で、その中でこう述べられています。
「偉ぶらず、おごり高ぶらず、世間とひとつになりなさい。」
つまり、実力を隠して周りと調和するといことです。
気をつけないといけないのは、実力を発揮するな、ということではありません。
実力を出し切った上で、それにあぐらをかいて、高慢な態度をとるのを、戒めているのです。
あなたの実力が本物なら、それをひけらかすまでもなく、必ず正当に評価されるときがやっています。
どれだけ自分をよく見せたい、強く見せたいと躍起になっても、あなたに本当の力があれば世間はちゃんと見てくれています。
だから世間の評価以上に自分を誇張すると、アンバランスが生じて、恨みや嫉妬を買うことにもなります。
例えば「お金を稼いだ」のであればそれだけで世間の評価を受けた証であり、それが「世間とひとつになる」ということ。これ以上自分をよく見せる必要がそもそもないんです。
「自分は○○円稼いでいる」と誇り、人に対し、自分のようになるよう誘導する人がいますよね。そのような場合、成功したその人への「憧れ」以上に、恨みや嫉妬を抱かせる負のエネルギーを創出しているんです。
人はどうしても威張り、自慢したくなる生き物。それまでの苦労が多ければなおのこと。
それにストッパーをかけてくれる素晴らしい金言がこの「和光同塵」です。
もちろん慎むべきはあなたの実力だけでなく、あなたの持つ「魅力」や「美点」でも同じことです。
世間は中立でかつ公平であることを、「世間とひとつになる」という言葉が、示しているのです。