つれづれなる恋バナ 第六章 移りゆく季節【歴史長編恋愛小説】
第六章 めぐる季節
春から初夏へと移ろいゆく季節。ほかほかとした風がそよぎ、京の都は心地いい陽気に包まれている。
四月中酉(中旬)の日、賀茂祭が色鮮やかに都大路を彩る。御所から、例祭が催される下鴨神社と上賀茂神社までを、華やかな行列が練り歩く
いま花園帝は二条富小路内裏に居している。そこから衣冠などに飾りをつけた勅使、供奉者らが行列をなして富小路を北上し、下鴨神社を経由し上賀茂神社に参向する。その行列自体が「路頭の儀」と呼ばれる儀式の一環で、洛中を颯爽と進んでいく。
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