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仕事つくる#40 初動の良さと付加価値の関係

田尻望さん著「付加価値のつくりかた」の読書感想文になります。仕事の経験を照らし合わせながら読んだのですが、その中で得た気づきの一部をまとめてみました。

僕はこの本を読むまで、付加価値とはなんですか?という質問に対して、「付加価値とはそのものがすでに持っている価値に、さらに上乗せされている特別な価値のこと」みたいなニュアンスの回答をしていたと思います。どうでしょう、そんなイメージではないでしょうか。

しかし、この本では付加価値はどこにあるのか?という問いに対して、シンプルにこう答えています。「原価からお客様のニーズまでの部分が付加価値だ」と。図でみるとわかりやすいです。

図:付加価値はどこにある

付加価値をこのように定義していることに、僕は一瞬「これは単なる利益なのではないか」と思いました。しかし、ニーズ=販売価格ではないということに気づき、改めて「なるほど〜」と思ったわけです。つまりは、ビジネスの成功はお客様のニーズをいかに正確に捉えられるかにかかっているという風に捉え直しました。

ひとえにニーズといっても2段階あって、まずお客様自身がすでに把握している顕在ニーズ。そして、お客様自身はその存在に気づいていない潜在ニーズ。この2つのニーズが存在しています。

顕在ニーズを満たす商品サービスはすでに市場に出回っているので、ここで勝負している限りは他社との価格競争になります。一方で潜在ニーズはまだ市場で視覚化されていないニーズなので、この潜在ニーズをピタッと掘り当てることができれば、価格競争に巻き込まれずより多くの付加価値を獲得できます。

潜在ニーズを掘り当てるには、お客様の深層心理を掘り下げて解像度を上げる努力が必要になります。「一流の消費者がつくった商品は売れる」という話がありますが、まさにそれで、買い手側の気持ち+売り手側の情報(できること)の組み合わせによって、お客様の「こんなの欲しかった!」を実現した商品サービスを世に生み出せるということです。

その指標の一つに使えるのが、商品サービスをリリースした後の初動の良し悪しだと思っています。お客様自身も気づいていなかった潜在ニーズを捉えた商品はリリースした後の初動が良いことが多いです。僕の仕事の中だと最近リリースした「カスタムオーダーソックス」のサービスは、他のアイテムに比べて随分初動が良かったです。

掘り下げるために少しレスリング業界の話をしますが、レスリングの試合で身につけることができるのは、試合着であるシングレット(ユニフォーム)とレスリングシューズ、そしてシューズからちらっと見えるソックスの3点だけ。シングレットはチームで統一したものを着用するというルールがそもそも存在しているので、チームウェアとしては定番品になります。シューズはそれぞれの足の形にあったものを履かなければ競技のフォーマンスに影響してくるので各自が購入せざるを得ないアイテムになります。

残すソックスについては、シューズ同様基本的には個々人バラバラのものを履くのが一般的。しかし、シューズのようにそこまでパフォーマンスに影響するものではないので、ここをチームで揃えることでバシッと統一感が出てチームの魅力を引き立てるアイテムになる可能性を秘めています。導入していただけるチームが増えることを願っています。

オーダーソックスのサービスは、まさに多くの人が気づいていない(気づいていても製造を頼めるメーカーを知らない)状況の中で実現させた「こんなの欲しかった!」と言っていただけるサービスだったのではと思います。だから他のアイテムより初動がよかったのかなと。もちろんそんな風にうまくいくことばかりではなく、ニーズを外すことの方が多いわけですが、顧客との接点を大事にし、時にはヒアリングしてお客様の潜在ニーズにピタッと合わせにいく地道な努力が、付加価値を生み出す一番の秘訣のように感じました。

価格勝負は業界の発展にはつながらない。これは昔から意識してきたことです。そうではなく、現場に赴き、常にユーザーとの対話を重ねて、「こんなの欲しかった!」を探り当てることで携わる業界を魅力的にしていきたいと考えています。いつだって知恵と勇気が大切です。

このnoteでは、付加価値初動の良さに焦点をあてて書きましたが、他にもこの本に書かれていることで「なるほど〜」と思えることは多々ありましたので、よかったら一読してみてください。今のお仕事のヒントが得られるかもしれません。

※本書の中では初動の良さには触れていません。僕の勝手な解釈になりますので悪しからず。

本筋とはぜんぜん関係がないのですが、ちょうど本日(令和6年2月9日現在)MAMOソックスをリリースしました。丈夫でズレにくくデザインにもとことん拘ったので、僕は普通にスニーカーに合わせて私服で履いております。特にホワイトは80sの雰囲気が漂っててかなり良い感じです。レスラー以外の一般の方にも心から推せるアイテムになっております。

本日もお疲れ様でした。

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