寝室の明かりを小さな豆電球だけにして、ベッドに潜り込む。そうして、眠気がやってくるまでスマホを眺めるのが習慣になっていた。寝る前にスマホを見るのはは良くない、というのは聞いたことがあるけれど、つい、で毎日してしまう。 適当な読み物を見つけて、それを読んで過ごすのが殆どだ。今日も例に漏れず、ネットの海をゆるりと泳いで、ふと目に止まったのは「現代の百物語を作ろう!」という公募型の特集だった。 百物語。数人で集まって順に怪談を語り、1話終えるごとに蝋燭を吹き消す。100本目
長らく帰っていなかった故郷に帰る。友達の結婚式のために。 そうでなければ帰るものか、あんな田舎になんて。 電車もバスも本数が少ないし、楽しく遊べる所もそんなにない。楽しかった思い出は友達と県外に遊びに行ったこと、部活動に打ち込んだこと……別にここでなくても、得られた体験ばかりだ。 電車に揺られながら、ぼんやりと風景を眺める。 車窓から、富士山が見えた。刹那、 かえってきた。 不意に、その言葉が浮かんだ。夏は暑く、冬は寒い。不便なことも物足りないことも沢山ある。他の県が羨
中学、高校ともに吹奏楽部に所属していた。 最初はフルートを希望していたが、「リズム感あるね!」と判断され、希望していなかった打楽器に。今では、指揮者・指導者の目の前に座り続けることにならなくてよかったと思うし、演奏しなくなった今でも打楽器は大好きだしで、結果オーライである。 好きな打楽器はティンパニ、バスドラム(大太鼓)、マリンバ(大きめの木琴)、エトセトラ。特にティンパニが本当に好きだった。音だけじゃなく、ティンパニのあの囲われている空間も大好きだった。できることなら、
本日の夕飯はグラタン。 ひとり暮らしを初めて数年。自炊は多少していたが、グラタンは作ったことがなかった。 トースターで焼けることを知っていたから、設備的に作れないこともなかったのに。まぁ面倒くさがりな性分だからね。仕方ないね。 そんな面倒くさがりの初めてのグラタンがホワイトソースから手作りとか荷が重い。市販のグラタンセットを買ってきた。マカロニとソースのもとが入っていて、裏面に作り方が書いてある。 指示通りに材料を炒めて、溶かして、煮込んで。グラタン皿も初使用だ。10