「昼寝」は30分以内は「良薬」、1時間以上は「毒薬」
「歳を取ると睡眠時間が短くなる」
聞いたことはありませんか?
実感している方もあるかもしれません。
◆年を取ると睡眠の質が悪くなる
加齢に伴い、夜の睡眠時間が減ります。
子供の睡眠時間は平均9時間以上ですが、70歳以降では6時間を下回ります。
加齢とともに脳と体を使うことが少なくなり、基礎代謝量が低下するため、必要とする睡眠量が減るからです。
一方、加齢とともに睡眠の質が悪くなります。
睡眠の質は、「深い睡眠」と「中途覚醒(夜中に目が覚める)」によって測ることができます。
40歳を過ぎると「深い睡眠」の時間が極端に減り、
60歳を過ぎると「中途覚醒」が多くなっています。
◆認知症の原因はアミロイドβの蓄積
脳細胞から排泄された「アミロイドβ」という物質が脳内に蓄積することが、アルツハイマー型認知症の原因と考えられています。
アミロイドβは睡眠中、特に「深い睡眠」の時に排出されるため、
「深い睡眠」の時間が短くなると、脳内にアミロイドβが蓄積してきます。
40歳を過ぎて「深い睡眠」の時間が短くなると、
認知症になる危険性が高まります。
どうすれば認知症を予防できるのでしょうか。
◆昼寝は良い? 悪い?
65歳以上の高齢者に30分の昼寝をしてもらったところ、
午後の眠気がなくなり、作業成績も良くなり、
夜に目が覚めることも少なくなったと報告されています。
昼寝の時間とアルツハイマー型認知症の発症を調べた報告があります。
昼寝をしない高齢者がアルツハイマー型認知症になる率を1とすると、
30分未満の昼寝をする人は0.16と、危険率が6分の1に低下していました。
一方、1時間以上昼寝をする人の認知症危険率は2.07と、
逆に増えていました。
昼寝の時間が長いと、夜の睡眠の質が悪くなるからと思われます。
昼寝は「諸刃の剣」
30分以内なら「良薬」になりますが、
1時間以上の昼寝は「毒薬」と言えそうです。
参考資料
1)松尾雅博ら:「睡眠‐覚醒リズムのアンチエイジング」,アンチ・エイジング医学,14(4): 500-505, 2018
2)宮崎総一郎:「睡眠とアンチエイジング」,『アンチエイジング医学の基礎と臨床第3版』:323-325,(株)メジカルビュー社,2015
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