電話しようと思っていたら電話がかかってきた
子どもを自立させようと、あちこちの施設を巡っている。
日中の通所施設があまりに素晴らしいので、辞めずに入れるようグループホームに体験入居させてきた。
しかし全部が詐欺だった。
体験入居させると国や市区町村から莫大な補助金が出るため、それを当てにして「入れる入れる詐欺」をするのだ。
そうこうしている内に私の体調がどんどん悪化して、飲食も受け付けられなくなり、起き上がるのも困難になってしまった。
そこで相談員や支援センターが「このままだとお母さんが倒れてしまう」と、通所施設も園内にある入所施設を勧めてくれた。
私は「居場所が二つ以上ないと虐待も発見できない」と拒み続けていたが、もう限界だったので申し込むことにした。
一つは今通所している信頼できる施設の入居だが、枠が二部屋しかなくて数百人申し込みがある為、難しい。
いくら相性が良くても東京都が管理しているため、選べないそうだ。
そこで近隣の市にも、3件申し込んだ。
どこも遠い。
車で30分以内で行ける所がいい。
まだ結果は先だが、苦悩する。
怪我や病気の時に、すぐに迎えに行ける距離がいい。
毎週一回は迎えに行って、家で手料理を食べさせたい。
そういえばコロナ禍で、3年前からショートステイを閉鎖してしまった同じ市内の施設はどうだろう?
あそこなら手が行き届いてたし、子どもも喜んでいた。
週明けにでも電話してみよう。
そう思っていた時、三年ぶりにその施設から電話がかかってきた。
「10月からショートステイを再開するので、またお子さんに利用して欲しい。
9月1日から募集するので、その日に電話して頂けますか?」
「分かりました。今利用している事業所があるので、そこと併用しますね。
私もちょうど電話しようと思ってたんですよ!
今入所施設を探していて、そちらに申し込むことは可能ですか?」
「今は部屋が空いていませんが、エントリーはできます。
……でもうちは普段からショートステイを利用してくれた方を優先したいので、その点では他の申込者より早く入れるかも知れませんね。」
「本当ですか⁉️わーい!嬉しいです。では宜しくお願いします。」
「あのー、卒業式にお話しした時に、今の通所先に行くっておっしゃってましたよね。
今も通っていますか?」
「はい。とても良くして頂いて通っています。
だから退所したくないのですが……、そちらなら同じように広くてしっかりしているし、近いので入れたら良いなと思ったんです」
施設は子どもと親をよく見ている。
発達障がいを持つ子の親はたいてい発達障がいだ。
子どもを可愛がることもできず、感謝や反省もなく、他人に責任転嫁する。
文句だけは一丁前で、周囲を振り回す。
そういう人は、こんな状況下では電話がかかってくることはないだろう。
施設は慈善事業ではない。
できるだけ低リスクで運営したいのだ。
ウチの子は発達障害がないのと、とても大切に育てたので、色んな支援事業者から可愛がられていた。
卒業式にはたくさんの事業所が駆けつけてきてくれて、祝ってくれた。
学校の先生も他校へ異動になった方も来てくれて(私が散々抗議をした方も)、私と子どもに話しかけて、写真を撮ってくれた。
一人でがむしゃらに頑張っていると、見ている人は見ていてくれる。
自分がやったことは、いつか自分に還ってくるのだ。
これからも、明るく親切な人間でいたい。