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他人を信用するとき

ものすごく信頼している支援者がいる。
きっかけは些細なことだ。
「この段ボールをこの道を500m先の左側に集積場があるから捨ててきて欲しい」
30分位経って帰ってくる。私は忘れている。

「花さーん。集積場どこですか?ずっと歩いて行ったんですけど大通りに出てしまって見つかりませんでした」
玄関で大量の段ボールを抱えている姿を見て大笑いしてしまった。

「そこの茶色の家の前だよ」
「なるほどー。でもあそこまで10m位ですよー」
「ごめん!ちょっと私数字が苦手で。あそこまで10m位なんだ。本当にごめんなさい」
「いえいえ大丈夫ですよー。では行って来ますねー」
すぐに帰ってくる。
「ただいまー。無事に置いてきましたー」と涼しい顔。
そのとぼけた顔に爆笑しながら「本当にごめんね」
「いえいえー大丈夫ですよー。どこにあるのかなー?と思ってただけなんでー」
本音を言いながら相手を傷つけない。
すごい人だなと感心する。

ある日その人が所属する責任者への愚痴を聞いてもらっていた。
その人は私も相手も否定しない態度で頷いていた。
帰り際に「だから言っといてね!」と言うと
「大丈夫ですよ。責任者ですからいざというときは獅子奮迅の勢いで動きますって!」と爽やか笑顔で帰って行った。

もうその後散々思い出しては大笑いしていた。
日常会話で「獅子奮迅」なんて言葉が飛び出す人を見たことがない。
私の同年代でもいないし、彼のような若い人では皆無だと思う。
語彙能力は知能そして優しさと直結していると思っている。

そこから私は彼に全幅の信頼を寄せている。
裏切られたことは、まだ無い。


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