【読書】カモフラージュ
カモフラージュに興味があり、まずは『カモフラージュ――自閉症女性の知られざる生活』を読みました。50ページ弱、絵本のような作りです。
ASD、自閉症スペクトラム障害は男性の方が多いと言われてきましたが、男女で症状の違いがあることと、この ”カモフラージュ” は女性に多いとされてきたことで、診断されていない人も多いだろうということですね。
質問紙は男性の特性を基準に作られているので、女性は当てはまりにくくなる、女性ASDの方が社交性があるなどが挙げられていました。
言葉を繰り返す、という特徴を見ていて思い出したクラスメイトがいました。凸凹がとてもあって、例えば英語は得意なのですが、十二支がどうしても覚えられないのです。頑張っても「子丑寅卯」まででした。
たまに、壊れたオモチャのように言葉を繰り返すことがありました。お喋りに夢中になって電車を乗り越してしまったとき、折り返す電車の中で
「電車、乗り越しちゃったね!」
と、何度も何度も大声で言っていたのです。ハタチぐらいですよ。
「恥ずかしいから何度も言わないでよ」
と言っても、なんで?と真顔で返してきてまた同じことを言うのでした。
当事者へのインタビューで作られた本で、この中でもこんなエピソードが紹介されていました。
クラスメイトも、なぜ何度も言ってはいけないのか、なぜ恥ずかしいのか理解できなかったのかもしれません。
『(学校で普通にしている分)家に帰ってから大爆発』というエピソードも、ASDの子を育てている方の支援をしていて聞くことです。学校では「大人しくて手がかからない子」だと思われているので、家での暴れぶりが先生に伝わらないと言う人もいましたっけ。カモフラージュなのかもしれませんね。
カモフラージュが悪いわけではなく、社会に溶け込むにはあのヒトぐらいにしておいた方が良いらしいと観察して実施して、それで本人が辛くなければ良いのでしょう。実際にそういう人も一定数いるのではないかと思いますが、ASDの統計には表れなさそうです。