⑦ 生活は変わる、変えられる。
一年間、「まだ死にたくない」と右往左往して、10キロ減量し、あらゆる数値を落として、たどり着いた結論は、「ダイエットは地道に食生活の改善と、運動」、「健康になるのは、早寝早起き規則正しい生活、十分な睡眠時間、できるだけストレスを抱え込まないように」という、全く面白くない、ひねりようがない、王道の答えしかなかった。
画期的なダイエット方法を生み出して、本を出してもうけてやろう……なんて考えてもいたが、無理だった。
さまざまな「ダイエット」「健康」の本を読んだ。いろんな人が、いろんなことを書いている。
でも、やっぱり、結局は上記の結論しかない。
若い頃ならば、運動せずに食べ物を改善するだけで痩せて、それでOKなのだろうが、年を取ると皮膚がたるむ、皺ができる。老化防止のために運動は必須だ。
痩せるだけでいいというならともかく、しわしわのタルタルになり老けていくのは、なるべく避けたい。
早寝早起き……と書いたが、だいたい普段、7時か8時に起きて、日付が変わった頃に寝ている生活なので、もっと早寝早起きの人からしたら、なんじゃそれかもしれない。
けれど数年前は、2時とか3時に寝て、昼過ぎに起きていた私からすると、早起きだ。
そもそもフリーランスの物書きは、夜型の人が多い。夜のほうが仕事が捗るという人が。自分も昔はそうだったけれど、不眠がひどく精神科に行き薬を処方されてから、昼間活動するようになった。
夜に起きてるのは、なんか鬱々と気持ちが沈んで、いらんことを考えてしまうので、精神衛生上よくなかったのだというのにも気づいた。
でも、これも人それぞれで、うちの夫は私より6歳上で、かなり不規則な生活をしているけれど、病んではいない。ただ、すごくよく寝てはいる。
私のようにもともとがネガティブ大魔王みたいな人間は、やはり規則正しく早寝早起きが一番心の平穏さを保てる。
退院後、運動をするようになって、さらに規則正しい生活になった。それまでは食べる時間も、むちゃくちゃだった。お腹が減っているからと夜食べて胃もたれすることも、わりとあった。
基本的に朝は食べず、昼と兼用になることが多かった。今は夜や昼を抜くことはあっても、朝は必ず食べている。
飲み歩くということは、全くしなくなった。一ヶ月に一度ほど、誰かと会う際に軽く飲むぐらいだ。
これは病気以上に、コロナ禍で人と会う機会が減ったということが多い。 編集者との打ち合わせも、夜よりランチタイム等にすることが増えた。けれどそのほうが、時間もきっちりくぎられて、お互いよいと思う。
夜はお互い、仕事を離れ、自分のために使う。それでいいじゃないか。
飲み歩きはしないけれど、たまにひとりで居酒屋行ったりするのは好きだ。
居酒屋は実は、きっちり栄養を調整できる場所だ。
昼はオムライス等で炭水化物がっつりだったから、夜は調整したい……という際に、居酒屋で肉と野菜だけ食べるということもできる。
あと、主に自炊をしている人間にとって、「自分で作らず」「さまざまな種類のものが食べられる」居酒屋という場所は、実はすごく便利だったりする。
コロナ禍でおひとり様来店が推進されたおかげか、ひとりサイズのメニューがある店が増えた。
私は鳥貴族が好きなんだが、あそこのメニューは均一料金なので、焼き鳥以外のサイドメニューも、量がそんなに多くなくて、おひとり様にちょうどいい。カウンター席を見渡しても、女性のおひとり様を以前より見かけることが増えた。
そしてまた、私は「餃子の王将」が大好きで、ひとりでよく行く。餃子の王将が素晴らしいのは、「ジャストサイズ」メニューがあることだ。一皿は多いからと、さまざまメニューの小さい皿がある。ひとりでいろんな種類を食べたい、けれどたくさん食べられない者にとって、餃子の王将はパラダイスだ。
上記の理由により、私は鳥貴族と餃子の王将が大好きだ。
安いから、そんなに値段を気にしなくて済むというのも、大きい。
そしてひとりご飯は、長居もしない。誰かと一緒に飲むなら、喋りもするけれど、ひとりだとすることもないから、食べてすぐに帰る。帰宅しても、まだ8時過ぎとかで、読書等もできる。風呂に入り、日付変わるぐらいに眠って、規則正しい生活を続けている。
こうやって改めて文字にしても、私がやっていることは、王道過ぎる。でもそれしかない。
正直、若い頃は、お酒をそんなに美味しいとも思わないくせに、たくさん飲んで酔っ払うのがカッコいいみたいなことを考えていたかもしれない。
煙草はもともと苦手で吸えないし、だったら酒ぐらいと、大量に飲んで、酔って吐いて、翌日二日酔いでぐったりもしていた。
今、自分がおばさんになって健康を害して、繁華街などで飲んで大騒ぎしたり道端に寝そべったりする若者を見ると、バカだなと思うけれど、自分だとてそうだった。
ただ、年取って、あんな生活をしていると、身体が持たなくなる。
どこかでもう若くないから無茶をしてはいけないと自覚しないと、命を縮めるだけだ。
酒で死ぬ人の話は、あらためて書いておきたい気がするが、まだ勇気がない。