さようなら、愛しのでんしゃたち。〜2歳長男、電車を卒業するってよ〜
「これなぁに?わかんない」
きた。とうとうきた。
彼が指差す乗り物ムックの表紙を彩っていたのは、
E5系はやぶさ
E6系こまち
ドクターイエロー
イーストアイ
なんと錚々たる面々……。
ニコニコ「でんた!(電車)」と言う次男の横で、長男も、はやぶさとこまちを指して「電車」と言う。「この電車、なんて名前?」と聞いても、「わからない」。
ギリギリはやぶさこまちは答えたけど、イーストアイは本当にわからないみたいだったし、中に載っていたE7系かがやきも「わからない」。
ああ、この日が来たか。
私の知識だけが、取り残されていく……
🚃
長男が「でんしゃ」と出会ったのは、1歳半のときだった。
「赤いでんしゃ」「みる」と言ったリクエストに答えて、いっしょに幸福の「赤いでんしゃ」の動画を見た。
そこから長男は、「でんしゃ」の虜。
一番好きな「でんしゃ」は、こまち。
なにしろ「こまち」が主役で、子どもたちに大人気、天下の「はやぶさ」は「こまちと、れんけつするやつ」という扱いだ。
長男が喜ぶ顔が見たくて、電車が見える子鉄スポットを調べては周る日々。
大きなお腹で、2歳前の長男を担いで鉄橋を登り、在来線の行き来を2人でワーワー言いながら見物したこともあった。
新幹線がちらとでも見えれば、大騒ぎするのは私のほう。
本人はジッ…と「でんしゃ」を見るのに忙しい。
「みて!!!!ほら!!!!こまちだよ!!!!!」って、私のほうが飛び跳ねて、周りのみなさんにニッコリされたことは、一度や二度ではない。
🚃
いつかはこの日が来るということは、「でんしゃ」が長男の中で最愛のものだったときから、覚悟していたことではあった。
実際に、「でんしゃ」にハマる前に大好きだったアンパンマンはだんだんとフェードアウト。玩具箱の片隅へと姿を消していったから。
「いつか、電車に飽きてしまう日も来るのだろう」
「私だけが、『見て!新幹線だよ!こまちだよ!』とはしゃいで、ママってほんとこまち好きだよね〜なんて言われる日が来るのだろう」
わかっていたはずなのに……
お気に入りだったこまちのペットボトルホルダー。これは!!!と思って即買い(私が)
部屋の片隅に追いやられた、プラレールの山。
とってかわって並ぶのは、恐竜。妖怪。ウルトラマン。レゴブロック。大量の絵本。
そして極め付けは、
「これなぁに?わかんない」
はやぶさが?イーストアイが?
わからない???
あんなに大好きだったこまちも、うっっっすら。残っているだけの様子に、頭を殴られたような気がした。
いつか、本物のこまちとはやぶさに、乗せてあげたい。いつか、近くでこまちを見せてやりたい。
いつか。いつか。
そういっているあいだに、彼がいま乗りたいものは「いったんもめん」。本物のいったんもめんには、逆立ちしても乗せてあげることはできない……😭
いつだって、今だ。今しかない。
子どもの成長はあっという間。
時間は光のごとく過ぎ去っていく。
🚃
そんな私の心には、先日見かけたとある連続ツイートが留まっている。
3歳の時の記憶自体はないけれど、3歳のとき行った動物園をきっかけにして、4歳のときも5歳のときも動物が大好きで、動物がきっかけでクローバーに興味をもち、バーテンダーになり、奥様に出会い……いまお子さんと共に住むお庭は一面のクローバー畑!なのだそう。
思えば、私が「車を運転したい!」「車の免許取る!」と言い、じゃあ、文字を勉強しないとね、文字を読めるようにならないと免許取れないよ、と言われて「勉強」を始めたのも3歳と聞いている。
ウルトラマン80に、セブンに、ベリアルに、エレキングに、ガンQに、上書きされていく。鬼太郎に、バッグベアードに、あかなめに、細手に、上書きされていく。ティラノサウルスに、ディプロドクスに、モササウルスに、アーケロンに、上書きされていく。
「上書きされる」。
「とってかわられる」。
私だけが、大量の知識のなかに取り残されていく。
そう思っていたけれど。違うのかもしれない。
鉄橋からいっしょに見た景色は、電車の名前は、きっともっとどんどん遠くなっていく。
いまいっしょに見ているあれも、これも、忘れてしまうのかもしれない。
けれど、確かにそうだ。
忘れてしまったとしても、記憶は、経験は、連続したもので、「その人」を作っている。
1歳半のあなた。2歳のあなた。そしてこれから先、3歳、4歳……これから先の人生を歩んでいくあなたに、なにか少しでも、繋がってくれていたらいい。そのくらいで、いいのかもしれない。
🚃
「速いねぇ、高速新幹線のぞみみたいだね!」
これは、長男が最近急に言うようになったセリフ。
「でんしゃ」そのものには、興味はなくなってしまっても、別の形で彼の中で息をしている……そういうことも、あるのかなって。
彼の心のまんなかに、なにか残せていたら、うれしいなって。
さみしいけれど、私はそんなふうに思った。
子どもの成長はあっという間。
時間は光のごとく過ぎ去っていく。
いつだって、今だ。今しかない。
🚃
「でんた!(電車)」と言うようになった次男。
「でんしゃすき?任せて!ママが、でんしゃがよーく見える場所、教えてあげるからね!」
長男のときはこうはいかなかった。
知識とは偉大。
なんならトーマスもパウパトロールもはたらく車も、ついでにプリキュアもわかるよ。ハハハ
そう言いながら、ぜーんぶおんなじ顔にしか見えないウルトラマンの親戚たちとにらめっこし、トイトレ用にトイレに飾る妖怪のガーランド制作に思いを馳せる。足元に転がっているのは…えーっと、ヴェロキラプトル?
最近覚えた「ベリアル」。ベリアルにも何種類かあるようだが、ストーリー見てないからよくわからない。悲しい過去があるということは夫に教えてもらったので、同情の気持ちが芽生えた
やれやれ、あと何回、「さみしい」と思いながら、子どもたちのコンテンツ卒業を見守らないといけないのか……
そんなことを考える私の顔は、きっと笑っている。メソメソ泣いているかもしれないけど、それは悲しい涙ではないよ。
🚃
今も私のボディバッグには、「こまち」のキーホルダーが揺れている。
そして、いつか北海道旅行に行ったらやってみたいことは、「H5系はやぶさに乗ること」。
私の中に、「でんしゃ」は今日も生きている。
あなたに教わるたくさんのもので、「わたし」は満たされ、つくられている。
「シンカリオン!はやぶさ!いーふぁいぶ!しゅっぱつしまぁーーーーす!!!!」
「ぜっとがったい!!!!!」
………あれ………??????
し、しんかりおん?はやぶさ?あれ?????
もしかして、まだまだ、「新幹線」とのお付き合い、つづく?
男児ママの、明日はどっちだッッッッ!!!
(子育ては今日も)つづくッッッ!
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猪狩はな 💙@hana_so14
https://twitter.com/hana_so14