100万円貯めて、汚部屋から脱出してみた
台所にたどりつけない。
そんな経験、普通しないと思う。
汚部屋だったころ、モノが床にあふれていた。ただ台所に行くだけなのに床がモノだらけで
SASUKEファイナルステージ
みたいになってた。台所にたどり着けるかどうかはその日の体力次第だった。
段ボールや雑誌、ゴミ袋が散乱。
モノがミルフィーユみたいに層になってて、歩くと足の下でCDケースが「パキッ」と割れる音が聞こえてた。
床だけじゃない。冷蔵庫もすごかった。
見えるかな。
ケーキを切った後のナイフが入ってるの。
また使うつもりだったのかもしれない。
もうその他もすごかった。当時の部屋の特徴をビンゴにしてみた。
もしビンゴが出たら私と同じくらいの汚部屋かも。
これ全部あてはまる部屋に住んでた。
でもね、私は自分の部屋が汚いとは思っていなかった。
でもある日、自分の部屋が汚いということにやっと気づく出来事が。彼氏がいきなり家に来訪。
「失礼ですがアポは……」
と思ったんだけどせっかく来てくれたので玄関で出迎え。でも、私の後ろに広がるすごさまじい光景を見た彼は様子がおかしくなり部屋には一歩も入らず帰っていった。
で、翌日私はフラれた。
明らかに家が原因。そこでようやく、「あ、私の部屋って汚いんだな」と自覚しました。
「なんとかしないと」
そう思ったものの、どこから片づけていいのかさっぱりわからなかった。
だから「まず普通の部屋を見てみたい」と思い、暮らし系の雑誌を買って読了。雑誌を読み終わった私はこう思った。
「ちょっと何言ってるかわからない」
だって床が見えてるんだもん。ダイニングテーブルの上に何ものってないんだもん。
って本気で疑った。それくらい、「普通の人が住んでいる部屋のきれいさ」に吃驚した。
「いきなりこのフェーズに到達することはできない」と思ったから、まずモノを捨てることから始めた。
だけど本当にモノが捨てられなかった。
ゴミ袋を片手に部屋をウロウロするものの、何も捨てられずに時間だけが過ぎ去る。この時期は、よくこんなことを言っていた。
「なんかもういいや」
そう思って片づけをあきらめ、汚い部屋のままずっと過ごしてた。でもね、やって来たんですよ。改めて、再び、やっと。断捨離を決意するときが。
年金手帳をなくしたの。
年金手帳だよ?年金手帳。死に物狂いで探したけど結局見つからなかった。仕方なく再発行。で、気づいた。
「私って、今までどれくらいの時間を探しものに使ったのか?」
平日の朝、「今日会社に持ってく書類がない」だの「このトップスに合うスカートどこにしまったっけ?」だの「今日ずっと外回りだからモバイルバッテリー持っていきたいのにバッテリーとiPhoneをつなぐケーブルがない」だの毎日大騒ぎだった。
平均すると毎日15分は探し物してたんだけどコレ年間に直すと
「私1年間で11日間も探し物してんの!?」
ってなった。
11日あれば長期海外旅行だって行けちゃう。
「時間できたらやろう」と思ってたことだって全部できちゃう。
しかも、「あと50年生きる(長生き)」だとすると
残りの人生、17カ月もの間
毎日朝9時から夕方5時まで
探し物をして生きることになる。
絶対に、死んでもイヤだ。
「決めた。絶対に汚部屋を脱出する」
そう決めた私は、片付けをプロジェクトと考えた。題して、「汚部屋脱出プロジェクト」。このプロジェクトのためにWBS&マイルストーンとKPIシートを作成し、業務の進捗を管理した。
「頭おかしい」
と、友達には言われた。言いたいことはわかる。
でも、これくらいしないと片付かない!!
仕事ってホラ、「できませんでした」が許されない世界じゃない。だから「できませんでした」が許されない状況に自分を追い込んだほうが良いと思った。きちんと「仕事のように片付けを進める」ことで絶対に脱出できるようにしようと思ったんだ。
そして、この方法が見事に大成功。私は数年ぶりに床を見た。
「うちの床って、ダークブラウンだったんだ……」
色すら忘れるほど、久々の床との対面だった。
でも一つ盲点があった。私の部屋ってすごくダサかった。でも部屋がダサいのは片付いてないからだと思っていた。けど実際に片付けてみたら
「すっきり片付いたダサい部屋」になった。
だから今度は「オシャレにしたい!」って思ったの。オシャレな部屋ってどんな部屋か?
床が白いこと。
本当に床が白いお部屋に憧れてた。床が白いだけでまぶしくて透明感があってすごく素敵な部屋に見えた。これが私にとっての「オシャレな部屋」。だから思った。
床は、絶対、白がいい。
「肴はあぶったイカでいい」みたいなことを言っちゃったけど、とにかく白い床の部屋に住みたかった。だから、白い床のお部屋に引っ越そうと決意。
だから
100万円を必死で貯めた。
家計管理を見直し無駄な支出を徹底的にカット。副業の時間を増やして収入をアップ。たまってきたお金の一部を米国高配当株投資にまわして配当金を増額。普段の生活では自分が本当に価値があると思うものにだけお金を使い無駄遣いを抑制。
一年近くかかったけど、コツコツ努力したおかげで100万円の貯金を達成。そのお金でインテリアを買って部屋づくりした。そのときのクレジットカードの請求額がこれ。
予算管理ヘタクソか。
20万もオーバーしたのでへそくりを崩して足りない分を補填。ちなみに普段こんな金額は絶対に使わないので、クレジットカードの会社の人から「不正利用されてませんか」と電話がきました(お手をわずらわせてスミマセン)。
で、完成した部屋がこれ。
かわいくない?
えっ、かわいくない?かわいいけど甘すぎず。それでいて大人な雰囲気もあり、木の優しいナチュラルさも映えている。もう何時間でも眺めていられる。
冷蔵庫の中にケーキを切った後の洗っていないナイフを入れていた人の部屋が今ではこんな風に。
うれしくて一駅先に住んでる友人を家に呼んで宅飲みした。あまりの部屋の変貌ぶりに驚いた友人が思わず
「生活感の捜索願だそうか?」
って言ってた。
ワークスペースはこんな感じ。自分好みのホテルライクなデザインに。
ここで仕事をすると本当にはかどる!!!
独立して自分の事業をやっているので、私のペースでのんびりと仕事をしている。一週間のスケジュールはこんな感じ。
で、寝室はこんな感じに仕上げた。
以前はベッドの上にたまったモノを
ブルドーザーのように床に落として
寝るスペースを作ってから寝てた。片付けてから体を伸ばして眠れるようになったから、翌日の疲れもすごくよくとれるように。
そしてキッチンはこんな感じ。
水回りは特に清潔にしたかったから、極限までモノを減らし掃除しやすくした。
「……でも、どうせすぐに元に戻るのでは?」
実は内心そう思っていた。でももう二度とあの部屋には戻りたくない。その願いはもはや「熱意」なんてキレイな言葉で表現できるものではなく、もはや怨念に近いものだった。
そこですごく良いことを思いついた。
人の目にさらされることが前提なら、「ちゃんと片付けてキレイな写真を見せたい」と思うだろう。
この方法が大成功した。ツイッターでお部屋写真を定期的にアップしてるんだけど、フォロワさんに見られるからササっと写真撮る前に掃除をするように。おかげで毎日ほんとにキレイなお部屋をキープできている。
ちなみに生まれて初めてツイートした写真がこれ。
この方法で、リバウンドせずに済んでいる。見てくれている皆さんのおかげ。いつもありがとうね。
こうして私は、今ではすっかり家での時間を贅沢に楽しむようになった。
汚部屋に住んでいたころは、家で過ごす時間がこんなにも贅沢だとは知らなかった。
普段の食事にもガラリと変化が。
彩りやバランスを考え、体に良いものを摂るように。部屋を片付けただけで本当にいろんな良い変化があった。
でも、やっぱりときどきズボラな時はある。
「丁寧な暮らし」に憧れて部屋を片付けたけど、結局花は飾らないしアロマも炊かないし料理も全力で手を抜いている。
部屋が片付いたところで自分自身は変わらない。「どこにいたって私は私なんだ」と宇多田ヒカルさんが歌ってたのを思い出した。
でも、それでいいんだ。片付けてお部屋をかわいくして、この部屋でおうち時間を満喫している。これが私。大満足だ。
おわりに
ここまで読んでくださりありがとうございました。
この記事を読んでいるあなたが今まさに汚部屋から脱出しようと努力している最中であるなら、無事に汚部屋 卒業生になれるよう心から祈っています。
2月4日
大好きなお部屋の机にて。
汚部屋卒業生の華より。
関連記事「モノを捨てる勇気がないあなたへ」
そしてここからは関連記事。
というnoteをこないだリリースした。
私んちにあるこのクローゼット。
どこか変だと思わない?
……そう、おそろしくモノが少ないのだ。
このシンプルですっきりしたクローゼットにするためには、実は苦難の道のりがあったんだ。
片付けを始めたころ。少しずつ、モノが捨てられるようになってきた。
一年使ってない食器は捨てた。
似合わない服も捨てた。
サビた調理器具も捨てた。
ぼろぼろの靴も捨てた。
カビの生えた衣装ケースも捨てた。
書類も家電の説明書も薬もコスメも全部、捨てた。
数年ぶりに床が見えた。
モノがすごく減って毎日が快適になってきた。
やっとだ。やっと、ここまで、来たのに。
それなのに。
小さいころからずっと一緒に寝ていたぬいぐるみが捨てられなかった。
昔趣味だったモノがどうしても捨てられなかった。
大好きだったばあちゃんが編んだセーターが捨てられなかった。
大量の家族の写真が捨てられなかった。
コツコツ集めたガチャガチャのコレクションがどうしても捨てられなかった。
400冊を超える大量の本が捨てられなかった。
初任給で奮発して買ったカシミヤのマフラーが捨てられなかった。
このような、「どうしても捨てられない」と思っていた思い出の品を手放したときのことをエッセイにした。この有料note「モノを捨てる勇気がないあなたへ」には、うれしいことにすごくたくさんの
という感想が届いている。一部抜粋するね。
こんなにうれしい感想が届いている。書いてよかった。送ってくれた人、ありがとうね。
また、このnoteのコメント欄にも続々と感想が届いてます。
▼一部抜粋
ちなみにやる気を出すために思い切って購入した!って方もいて、とってもうれしかった。
こんな言葉をもらえて本当に私もうれしい。感想を読んだ時は朝布団の中にいたんだけど、「書いてよかった」って思いながら布団を握りしめたよ。ありがとうね。
さてこの有料noteは「どうしてもモノが捨てられない」というあなたのためだけに書いた。このnoteを読めば、
がはっきりとわかる。「もういい加減、ちゃんとした部屋で暮らしたい」。そんな人だけぜひとも読んでほしい。
あとがき
ありがたいことに、このnoteは「第一回note創作大賞」で優秀作品賞をいただきました。
いただいた書評がこちら。
Twitterとかはてなブックマークでもね、たくさんのコメントをもらったんだけど。そうなの。この「WBSとKPIシートで管理する」っていう方法がすごく反応が良かったの。
私はむしろ、ビフォーアフターの写真とか、上の方にいれた汚部屋ビンゴとかがウケると思ってたから。ものすごく驚いた。
やっぱりさ、自分がつくったコンテンツってどんどん世に出したほうがいいんだね。頭の中に置いておくだけじゃ、「どういうポイントが読んでくれる人にウケるのか」全然わからないから。
……生まれて初めて書いたnoteが、たくさんの人に読んでもらえてとってもうれしい。
これからも、ちょっとずついいnoteを書いていくから、楽しみに待っててね。