【詩】青い薄化粧
起きてすぐの薄化粧
霞がかるあなたに触れる前
気付かないほどの青を混ぜて
すぐにベッドに戻ると
あなたの中に残ってる私がないかと
背中に耳をあてるの
このまま泣いてしまえば勿体ないけど
くしゃくしゃになった私に
大丈夫綺麗だよって笑って欲しい
電車の窓から覗く雨空が私の心と同じで
あなたは哀しげな顔をするのに晴れ
雲は俯くばかり
あなたの瞳の奥に潜む熱には気づきたくなかった
起きてすぐの薄化粧
きっと今日あなたを失う
気付かれないよう青を混ぜて
どうして悲しい顔をしているの
泣いてる顔なんて初めて見た
すぐにここからいなくなってあげれたら
あなたの思い出があなたを苦しませずに済むのかな
あなたの震える声と肩に
私は手を温めてあげることしかできない
大丈夫って抱きしめてあげたかった
あなたの息 こんなに近くで感じたのはいつぶりだろう
苦しくなっても大丈夫
あなたを責めたりしないから
辛かったよね 言葉にするのは
もう私の事は考えなくていいんだよ
最後くらいあなたを助ける人になりたかったから
優しくて残酷なあなたが好き
それだけで私の中はいっぱいになる
こんな時にあなたの穏やかな声がふと脳裏を掠めて消えていくの
あなたに悟られないように扉を開く
もうどんな顔で話していいか分からない
「ごめん」って声にならない声で言うから
「うん」と私も精一杯だった
さよならまでが遠い
さよならまでがこんなに遠い
何も言えずにじゃあねと歩き出した
ずっと私のことを考えて歩いた
私の好きな音楽
私の好きな本
私の好きだった景色
あなたが好きと言ってくれた青い化粧
気付いて欲しかったな
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