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美術史第75章『中国の工芸についての概論-中国美術3-』
・この記事はかなり量がある中国美術史の前に押さえてほしい部分の話をするもので、まだ、他の記事のように本格的に歴史を語るものではなく、歴史を語るだけでは見えない全体の大まかな特徴や一ジャンルの流れのようなものを見ていただきたいと思って書いたものです。
中国の陶磁器
中国の陶器は有史以前から発展し続け白磁、青磁、染付などの華麗な器を作り出した事で、陶器の世界的中心地として繁栄した。
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また、胎土に多くの珪素を多く含み釉薬をかけて高火度で焼成しガラス化させた「磁器」とそれに当てはまらない普通の「陶器」の二種類があり、磁器は中国で発明されたものであり、磁器は中国の宮廷で用いられた他、国家の主要な輸出品目として世界中に大量に輸出され、日本では茶の湯道具、イスラムやヨーロッパでは王族・貴族のコレクションとなり、盛んに模倣され世界全体の陶磁器を発展させた。
陶磁器の釉薬と焼成
また、中国の陶器類は一部の例外はあれど大抵、釉薬で珪酸塩ガラスの皮膜が施されており草木灰を原料とする高火度で焼成する「灰釉」と溶媒として鉛を含む低火度で焼成する「鉛釉」の二種類が主な釉薬で、原料に含まれる金属成分の違いや焼成方法により様々な色合いが生まれる。
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焼成方法には酸化炎焼成と酸素を十分に供給しない還元炎焼成があり、有名な「青磁」は釉薬に含まれる灰に含まれるわずかな鉄が変化することで青を発色し、これに酸素を入れると黄色、鉄分を増やすと黒色、銅を用いると赤色、コバルトを用いると瑠璃色に仕上がり、また、「青磁」ともう一つ代表的な「白磁」はそれとは違い白い陶器に透明な釉薬をかけたもので釉薬の色が白いわけでない。
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また、鉛を含んだ「鉛釉」という釉薬は基本的に透明だが、酸化銅を用いると緑色、酸化鉄を加えると褐色、コバルトを加えると藍色になり、それらをかけ分けたものが有名な「三彩」というものである。
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そして、白い素地に直接、酸化コバルトの顔料で紋様を絵付して上から透明釉薬をかけて高火度焼成され青くなったものがこちらも有名な「青花」、日本でいう「染付」で、これに鉄絵の具を使ったのを「鉄絵」、銅を使ったのを「釉裏紅」と言い、多色の絵の具を用いて出来上がった白磁の釉薬の上から図柄を描きもう一度低火度で焼成したのが「五彩」である。
陶磁器の分類
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中国の陶芸で作られた器の種類を簡単に紹介するとコップなどを意味する「杯」、飯や汁物などを守るための「椀」、深めの皿を意味する「鉢」、大皿を意味する「盤」、口が狭いか細長いかしている壺を意味する「瓶」、注ぎ口や取手のある薬缶やティーポット、急須などを意味する「壺」、洗面器や植木鉢などを意味する「盆」、茶道や書道で使われる水を継ぎ足すための容器「水注」がある。
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他の中華陶器の用語としては壺や瓶などの肩の部分につく取手や紐通しの穴、装飾の意味を持つ「耳」、鉢、腕、盤などの内面を意味する「見込み」、鉢、椀、盤、水注などの支えとなる「高台」、青磁などに見られる表面の罅「貫入」などがある。
漆器について
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中国において漆器は生活品、装飾品として先史時代から作られ、漢王朝時代に政府の命令で職人が拡充されて以降発展し、唐代に様々な形状や鳥、動物、花などの金銀の薄い板を使用した漆器が誕生した。
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その後、中世の宋代に「彫漆」という表面に漆を何重にも重ねてそれを削ってレリーフを作る技法が誕生し、明代にはこれがさらに緻密になり日本でも「蒔絵」や「琉球漆器」も作られ始めた。
青銅器について
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そして、中国の青銅器は他と同様に主に古代に数多く生産され、複雑な造形と文様、高度な鋳造技術を特徴とし、美術品として現在、評価される青銅器作品は日用的な酒器や食器ではなく儀式用の祭器で、青銅器は貴重だったため器の所有者の地位や権威の象徴ともなり、政治的・社会的・宗教的な意義を持ったと思われる。
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しかしその後、秦の始皇帝の一連の改革以降には青銅器は日常生活品以外で殆ど作られなくなり、唯一、銅鏡だけは漢の時代に「漢鏡」として多く生産されていき、近代まで作り続けられることとなる。
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中国青銅器には主に酒器、食器、水器、楽器があり、さらに詳細な分類がなされているがそれは考古学の範疇なので省略するとして、文様については大きな2つの眼を強調し獣を象った「饕餮文」、長い胴体に一角一脚の「夔竜文」、嘴が内側に曲がった鳥の「鳳文」、その他、アルファベットのGを組み合わせたようなものや、鱗状のものを組み合わせたもの、蝉、ジグザグ模様、長い二等辺三角形、複数の竜が絡み合ったものなどがあった。