4五玉裸玉探索進捗と天王山裸玉の挑戦
先日、天王山裸玉/3五玉裸玉と成り得る2手目途中図(玉方:4六玉、詰方:4七桂、持駒:飛2金2香歩)を2手逆算して成立するか確かめなさいと詰将棋界に問いかけた。初手と2手目の検討作業は、裸玉探索において最大の難所だ。裸玉1作あたりの検討にかかる時間のうち、各手数のおおよその内訳は次の通りになる。
低スペックのPCを用いている筆者の経験上、どんな裸玉作品でも最終手~8手目くらいまでは1日目でサクサクと検討が終わる。1 %は4~5時間に相当するといったところか。2日目には5手目付近まで逆算できるため初裸玉作品を手掛けるときは「もうすぐ終わる!」と欣喜雀躍だろうが、これは数ヶ月に及ぶ検討地獄への入り口に過ぎない。いつ不詰や余詰、変長の別れにぶち当たるかもしれない不安感に苛まれる時間の98%は初手~4手目に集中しているのだ。
ちなみに、初手より2手目のウェイトが高くなっているのには理由がある。初手(奇数手)は不詰となる応手1つに絞って検討すれば終わるのに対して、2手目(偶数手)は作意以外のすべての応手に対して早詰か同手数駒余り、あるいは変同で割り切らなければならないためだ。個人的に、偶数手はとても面倒くさい。
さて、枕はこのくらいにして本題に入ろう。上記の天王山裸玉/3五玉裸玉の2手逆算問題を提起する傍ら、天王山裸玉を別の角度から攻めるために筆者は4五玉裸玉と成り得る新たな裸玉候補の検討を行っていた。以下、その重要な詰方持駒と検討進捗状況を報告する。
2ヶ月にわたる膨大な検討を行った結果、29手目に迂回手順があること以外、2手目までの逆算に成功した。残す検討は初手だけだ。ところが残念なことに、直近の検討で初手▲4九飛の余詰があるかもしれないことが判明した。現状は詰みを回避する奇跡的な手順を探っているが、なかなか糸口が見えない。
さはさりながら、最終的にこの初手▲4九飛が余詰であったとしても、この詰方持駒(飛2金銀桂3香歩)のサンプルは天王山裸玉を探索するにあたっての重要な道しるべになることは疑いない。筆者としては、飛2桂3+金駒2枚の系だと予想して探索をはじめているが、果たして天王山に登ることはできるのだろうか――。