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一次創作小説倉庫(灰音ハル)

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小説置場です。140字関連、掌編、短編、長編とジャンルばらばら。お好きにお読みください。
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2022年3月の記事一覧

【掌編】シュガーレス

掌編です。一人称。

シュガーレス
 落ちた。落ちたんだ。掌から落ちたんだ。震えて、微かな、名前もないものが掌のさ、指の隙間から落ちたんだ。知らないよ、どうでも良いよ。僕の所為じゃない。僕の所為じゃないさ。ただ、僕の指の隙間から落ちただけさ。
 そう、言われていたさ。受け止めなさいって。それはそうだ。そうしなきゃいけないから。でも、僕の手は、それを受け止められなかった。じゃあ誰の所為なんだ。僕は何

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バカンス de GOGO!1

バカンス de GOGO!1

ちょっと前に書いた作品。完結させたいので掲載。長いのとBL風味。

バカンス de GOGO!1

 ここは不思議な町。
 まるで普通の町・ウォルデンド。
 ウォルデンドの住人は、皆思い思いの生活を送っている。甘くて酸っぱい学生生活。涙の卒業式を乗り越えて、いざ社会人に。アルバイト、自営業、公務員、サラリーマン。その誰もが、就業後にはバーに駆け込む。家が隣の幼馴染と恋に、時には名も知らぬ旅人と恋に

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【短編】あいのなのもとに

【短編】あいのなのもとに

 短編です。

あいのなのもとに

 ねぇ、愛は止められない。愛は止められないの。どうにもこうにも、止まらないし止められない。だから、こうして人は傷つけあうんだろうなって、あたし、思うのね。

 好きになったら仕方ないって、名言よね。本当に、いつでもあたしを救ってくれる。だって、あたしがすることは全て愛の名の下に当たり前のことなんだから。あなたのことが好き。大好き! だから、これは当たり前のことな

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【短編】知能症BOKUに演技して

【短編】知能症BOKUに演技して

 さっくり一人称短編が書きたくなったので。

 知能症BOKUに演技して
 尖った言葉を使うと、自分が傷ついた人みたいな気分になれて心地が良かった。被害者面すれば、誰かを傷つけても許されるってことを知ってから、ずっとそうしている。頑張ったふりをして、苦しいふりをして、慰められる度に顔面の裏側のよくわからないところ、ぐちゃぐちゃした筋肉で笑っている。自分のことは自分で思い通りにできるんだ。だから、何

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