着物の奥深さに ちょっとだけ触れてきました @東京国立博物館
東京国立博物館(トーハク)には、歌舞伎関連や浮世絵が展示されている部屋に、常時、いくつかの着物もならんでいます。普段はほとんど観ることがないそれらのうちの一点に、少し近づいてみました。
着物のことは全く知らない……知識がほぼゼロのわたしですが、時々眺めるようになってから、どうやら「野口眞造氏寄贈」と記されている着物は、すごいものらしい……ということが分かってきました。それで「おっ、また野口眞造さんの着物だな」と思ってじっくりと観てみました。
上の写真のとおり、全体を眺めると、どこにでもある普通の地味な着物……にしかわたしには思えません。ただしパッと見て、下の方になんか描かれているなって思いますよね。
近くまで寄っていくと、たしかに唐=中国っぽい山水と人物が表現されていて、これが展示作品名に記されている「唐山水人物模樣」というものなのだろうな……とわかります。こういうのって、どうやって織っている? 染めている? んですかね……詳細に見ていくと、松の葉や橋の欄干、描かれている人物が着ている着物の柄まで、詳細に描き込まれていて驚きます。
ちなみに解説によれば「墨絵風に模様を表わした絵友禅と呼ばれる技法で裾模様を染めて」いるとあるので、染めているようです。「染」って、こんなに細かい表現が可能なものなんですね……はじめて知りました。
そうして展示ケースのガラスに鼻がくっつきそうになるくらいに近づいて見てみると、「おいおい……これって地の生地にも何だかの柄が入っているよ」と気が付きました。
少し色調整して見やすくしたのが上の写真です。プリントされている(染めている)わけではなさそうで、解説パネルには「花唐草模様を織り出した紋縮緬地」と記されています。そうして模様を織り込んだ生地を、「藍色がかった鼠色に染め」ているということです。まったく、人類というものは、こうも手の込んだことを江戸時代からやっていたんだなぁと……ただただ驚くばかりです。
現在のトーハクでは、この他にも本館2階の特別室で、着物がどかどかと展示されています。それも機会があれば、今度noteしていきたいと思いますが……今回は以上です。