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すれ違う美しい4人の女性たちの一瞬をドラマチックに切り取った下村観山の《春雨》……@東京国立博物館

ふたたびの東京国立博物館東博=トーハク……近代美術の部屋からのレポートです。今回は、下村観山の《春雨》。

等身大くらいじゃないですか? っていうくらいに大きく描かれた4人の女性たちに、多くの来館者が足を止めて、または作品の前に置かれたソファに腰掛けて、長い時間をかけて見入っていました。

わたし自身も、前回noteで記した前田青邨せいそんの《朝鮮之巻》と同じくらいの時間をかけて、引いて見て……近寄って一人ずつを見て……また引いてみて……というのを繰り返してしましました。重要文化財には指定されていませんが、それくらいに、魅力を感じる作品なのだと思います。

《春雨》下村観山筆|大正5年(1916)|絹本着色
《春雨》(右隻)下村観山筆|大正5年(1916)|絹本着色
《春雨》(右隻・部分)下村観山筆|大正5年(1916)|絹本着色
《春雨》(右隻・部分)下村観山筆|大正5年(1916)|絹本着色
《春雨》(左隻)下村観山筆|大正5年(1916)|絹本着色
《春雨》(左隻・部分)下村観山筆|大正5年(1916)|絹本着色
《春雨》(左隻・部分)下村観山筆|大正5年(1916)|絹本着色

冒頭に記した通り、多くの人が立ち止まって見入っていたこの作品ですが、解説パネルにある通り「画面を貫く橋の欄干を真横からみた大胆な構図」というのに、まずは目を見張りました……というか引いて全体を眺めていると心地よいなと。

この作品は「蛇の目をさす・婦人と、それを振り返る女性三人の一瞬のドラマが(中略)描きだされて」いるそうなのですが、三人の中で表情がうかがえるのは、右隻うせきの一人だけ。その一人の女性をよく見てみると、この明治大正期特有というんでしょうか、透明感のある白い肌色がとても美しいです。美人……なのかは人それぞれ好みがあるでしょうけれど、美しい表情であることは間違いありません。

実物を目の前にした時には気が付かなかったのですが、解説パネルには「絹の裏から金箔をあてる手法(裏箔)と裏彩色により、雨を線ではなく光で表わして、この情景を演出しています」と記されていました(今、気が付きました)。いつも解説パネルを読まずに作品を鑑賞していることが多いのですが、こうやって後から気がつくことがあると……あぁ、解説を読んでおけばよかったな……と後悔します。

とはいえ、今作品は3月19日まで展示されているので、まだまだ観られる機会は多いです。裏箔の手法で表現された春雨が降る様子は、次回の意識して鑑賞したいと思います。やっぱり実物じゃないと、分からないことって多いですね。

※下の「観山」の落款……サインの文字がとても美しいですね。かっこいいし。

《春雨》下村観山筆|大正5年(1916)|絹本着色

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