超絶技巧の「根付」コレクション @東京国立博物館/2024年9月
今季、東京国立博物館(トーハク)で見られる超絶技巧ばかりの値付を、さらに厳選して……と言っても、わたしの好みで選んだ逸品をnoteしていきます。ほとんどわたしのビジュアル付きのメモだという点は、ご了承ください。
まずは浮世絵がメインで展示されている部屋にある、江戸時代に作られた根付から、ちょっとだけいきます。
「鵺(ぬえ)」とは、Wikipediaによれば「頭が猿、胴が狸、手足が虎、尾が蛇という「鵺」と呼ばれる怪物」なのだそうです。歴史書や貴族の日記には、鵺(ぬえ)の出現がいくつか記録されているそうで……その中で最も有名なのが、『平家物語』巻第四で英雄伝説として語られた源頼政の鵺退治。ということで、この根付で表現されているのも、この時のものだろうと推定します(違ったらごめんなさい)。
平家物語によれば、平安時代後期の近衛天皇の時代……天皇=帝が毎晩何かに怯えるようになったそう。そこで武家の源氏の中でも腕が立つと評判だった源頼政が選ばれて、御所の夜警にあたることになりました。すると深夜に、艮の方角(北東)から黒雲がもくもくと湧き上がり、鵺が現れました。頼政は弓で鵺を射て、郎党の猪早太(いのはやた)が太刀で仕留めたのです。この鵺退治の功により、頼政は「獅子王」の号が付けられた大刀を下賜されたとかされなかったとか……。(以上、Wikipediaを参照)
ということで根付を改めて見てみると……これが頼政だとすると、短刀を持っていますね。上述の平家物語の話では、仕留めた後に鵺(ぬえ)をバラバラに切り刻んだそうです。まさに根付の頼政が鵺を切り刻み、首を斬って見栄を切っているところ……という感じでしょうか。
ちなみに下賜されたと伝わる「獅子王」ですが、同じ名前の太刀が、なんとトーハクに所蔵されているそうです。近年だと、2022年1月2日から展示されていたそうなので、わたしも絶対に見ていたはず……なのですが、全く記憶にございません。残念……次はしっかりと見たいと思います。
以前もnoteしたかもしれませんが、最近、「竹取物語ってどんな話だったっけ?」と思い、YouTubeの窪田等さんのナレーションで、和田万吉さん訳という「竹取物語」を聞いてみました。もし同じような方がいれば、こちらを聞いてみると良いかと思います。現在、トーハクの近代美術の部屋には、前田青邨(せいそん)の『竹取物語』が展示されているので、こちらもおすすめです。
《鉄漿付牙彫根付》は、「かねつけげちょうねつけ」と読むそうです。どういう意味なのか……分かりませんが「鉄漿で色付けした象牙彫の根付」くらいの感じでしょうか。それにしても象牙って、江戸時代に輸入していたんですね。
ということでググってみたら、すぐに出てきたのが、山口真吾さん著の「論考 江戸時代の象牙輸入の状況について」という論文(PDF)。氏は日本根付研究会の会員なのだそうです。この資料によれば、唐人+南蛮貿易で「(江戸時代の)18世紀には年間数百kgから10t台の輸入があった」そうです。
なんどか素材が気になり始めましたが、こちらはクジラの牙を使っているとのこと。クジラは……欧米が中心になって「獲っちゃダメ!」と言っていますけど、江戸時代のアメリカが、油を採るためにクジラをバカスカ採っていたのは有名な話です。もちろん日本でも鯨漁は行なわれていたので、この素材は国産ということなのでしょうかね。
以下は「高円宮コレクション」の根付です。今、調べてみたら……9月16日(月・祝日)までの展示でした……。まぁでも高円宮コレクションは、それほど量が多くないので……と言っても500件あるそうですけど(根付以外も含むコレクション総数)……常時50件ほどが展示されているので、けっこう「これ見たことあるな」というのが多いです。今季見られなくても、また近々展示されるでしょう。
ということで、今季はうさぎが多い印象がありますが、うさぎ以外にも良いものがたくさんあります。
どうやら女性の根付師さん。ならではの、優しい感じの根付ですね。
この猿……よく見ると何匹もいるんですよね。どうやってこんなものを作れるんでしょうか。
この2人の子供の根付はかわいいので、展示されていると必ず見入ってしまいますし、撮りたくなります。今回はピントも合ってブレもなく、露出もまぁまぁなのでよく撮れたと思います。
タイトルを何度見ても「福禄寿」ってなっていたのですが……作品をなんど見ても「イカ」っぽいんですよね。↓ 後ろ姿とか、イカとしか思えませんw……。
水平の位置から見ると、これって何? という感じなのですが、下から覗き込むように見ると「あぁ〜たしかに幽霊かもな」と分かります。ただわたしは、『銀河鉄道999』で、どこかの星の女性として出てきそうだなって思いました。
<過去の根付note>