眺めてるだけで楽しい! 中国・明末の人たちの様子が細かく描かれた絵巻……@トーハク東洋館
先日は「東京国立博物館(トーハク)の東洋館の展示が素晴らしかった」といった話をnoteしました。今回はその続きです。
素晴らしいなと思ったのは、東洋館の4階にある中国書画の展示室でした。今季のテーマが、『中国の絵画』のなかでも『人物と風俗』というのが、わたしの好みだったこともあるでしょう。描かれた時代の、その時の人々の生活が描かれている絵って……昔の写真でも良いのですが……とても見入ってしまいます。
そして明時代の17世紀に、張択端(ちょう たくたん 1085~1145)さんという方が描いた《清明上河図巻(せいめいじょうかずかん)》は、とても見応えのあるものでした。
下の写真は全体を撮りたかったのですが、ガラスの反射が激しく、全体を写しても見えない部分が多かったため、一部分だけを撮りました。本当は、この長さの3倍くらいはあったような気がします。
いきなりですけど、先ほど「明時代の17世紀に、張択端(ちょう たくたん 1085~1145)さんという方が描いた」と書いてしまいましたが、鋭い方はすぐに分かると思いますが……1085年~1145年に生きた人が、なんで17世紀の明時代に作品を作ったことになってるの? ということになります。
正確には「張択端の款(印鑑?)」が捺してあるだけで、12世紀に活躍した画家が、17世紀に生き返って描いたものではありません。つまりは17世紀に作られた「偽作・贋作」ですね。それでも現在まで残っていて、トーハクに収蔵されたのですから、専門家が見ても、すばらしい作品だということは間違いないのでしょう。
どこの街なのか記されていませんが、繁華街を進むと城門があり、そこをくぐってもずーっと街は続きます。天地の真ん中を左右に走るメインストリートだけでなく、その上下に広がる街の様子が細かく複数階層で描かれているのがすごいです。
こうした絵を見ると、地下鉄の三越前駅の地下通路に複製が展示されている、江戸時代当時の日本橋から神田にかけてが描かれた、《熈代勝覧(きだいしょうらん)》を思い出します。
もう本当に細かく、往来する人や動物、建物などが描かれています。例えば下の写真を見ると、真ん中には荷を運ぶラクダや、人を乗せているロバ……それにこちらも荷を背にした小さめの馬たちがいます。
そうしたラクダなどがいるというのは、シルクロードの西域に近い地域の大都市なのかもしれません。ちなみに解説には、「人々の風俗は一部、明末当時に近い」とされています。
この絵巻は、歩いている人たちだけでなく、隣接する建物のなかで、いろいろなものを作っている人たちがいるのも見ていて楽しいです。もし中国の風俗を研究している人であれば「あぁここでは何々を作っているなぁ」とか「おぉ〜こっちでは、何々を干していますねぇ」などと分かって、もっと楽しいだろうと思います。
↓ この写真の右端のほうには、中国雑技団的な子どもも写っています。また大きな傘を捧げられている、馬上の高貴な人も描かれていますね。
↓ これは、メインストリートの奥が描かれている場所です。中国のこうした街を歩いたことがないのでわかりませんが、通り沿いには商工業の人たちがいて、その奥に社長さんたちなのかの大きな邸宅が建てられているようです。
ということで、わたしに分かることが少ないため、ほとんど写真を貼り付けただけになってしまいましたが、今回のnoteは以上です。