東京国立博物館(トーハク)の近代絵画の部屋に、またまた《東海道五十三次絵巻》が展示されています。横山大観をはじめ下村観山や今村紫紅(35歳)、それに小杉未醒の4人が、再興された日本美術院の運営資金を工面するために、東海道を汽車を使わずに写生旅行して描いた作品です。描かれたのは大正4年……1915年のこと。
東京と神戸を結ぶ東海道線が開通したのは、1889(明治22)年7月のこと。横山大観などが旅したのは、その26年後なので、なんで汽車を使わないの? という時代だったのかもしれません。この絵巻は全9巻。旅行には表具師を連れていったそうで、描きながら絵巻に仕立てていき、全巻は、ほぼ旅の間に完成した…と解説パネルに記されています。
また、後には文淵堂というところから豪華本のような形で出版というか印刷されて、絵巻として発売されたもよう。当時の書評誌を読むと、この4人の東海道中は、一般にもなかなかに話題となったようです。
もう何度も見てきた《東海道五十三次》のスタート地点……日本橋です。汽車を使わない、大正時代の旅って……歩いたのかな? そんなわけないよな? と思って調べてみると、人力車で旅したそうです。
ということで今回のnoteは以上です。
<過去にnoteした《東海道五十三次絵巻》>