見出し画像

見ていると癒やされる、鳥たちを描いた水墨画……@東京国立博物館

仕事で疲れたので、一服がわりに東京国立博物館(トーハク)で撮ってきた水墨画を眺めています。

あぁ〜、ほんとうに思うのですが、自分は“仕事をする”っていうことが向いていないなぁと。今の仕事が嫌いというわけでもなく、今の仕事自体が楽しくないわけでもなく、文字通り“仕事をする”ってこと自体が向いていないなと……。ほかの人からすればただのナマケモノであり、それを全く否定もできず、懸命に否定するつもりもないという……。

と、書いてみましたが、自分が“仕事に向いていない”というのは、とっくの昔に分かっていたことで、「どうしよう?」って悩む時期も過ぎていて、今は悟っている感じでもあります。

ということで、鳥の水墨画を見ています。

《柳鷺図(りゅうろず)》祖栄筆|室町時代・16世紀|紙本墨画
橋爪幸達氏寄贈

祖栄さんという、“戦国のスーパー・エキセントリック”の雪村(せっそん)さんに画法を学んだと伝わっているそうです。ほほう……。

「白く優雅なイメージを宿す鷺と、力強い生命力を持つ柳は、ともに吉祥のモチーフとして知られ、水墨画の画題として多く描かれた」と、解説パネルには記されています。そうなのかぁ……。解説では続けて「ゴツゴツとした柳の幹と、上部で流麗に反転する枝先の表現とが対比的」だという点に着目しています。たしかに……。

わたしは20代後半の2年間だけ植木屋で働いていたので、ときおり柳にも登ることがありました。たしかに幹はゴツゴツというか、ガサガサと乾いて硬くなった荒れたお肌みたいな感じで……よく服が引っかかっていました……一方で枝は見て分かるように、とてもしなやか……どれだけ引っ張っても枝が折れることはありません。

江戸城の内堀だかの柳は、風が吹くと枝がペシペシと頬に当たって痛いです
幹は細くてまっすぐですけどね……

絵をボーっと見ていると、この鷺(サギ)が、なんとも味のある表情をしているなぁと。視線の先には何があるんだろう? とか思いつつ、なんだか微笑んでいるようにも思えます。サギって、こんなふうに片足で立っているんでしたっけ……久しくサギを見ていないから、どんなだったか忘れてしまったなぁ……。

それにしても、このサギ……祖栄さんは、どうやって描いたんでしょうか……って、ボーっとした頭で考えてみました。分かるわけもないのに……。

描き方を知っている人は、不思議にも思わないんでしょうけど……絵を描かないわたしからすると……背景には薄っすらと墨が染みているような感じじゃないですか……このサギって、その背景の墨を染み込ませた後に描いたのか……それともサギの輪郭線を引いた後に周りに墨を染み込ませたのか……どっちなんだろう? って。まぁ今はボーっと考えているんですけど、一度寝たら、そんなことを考えたことも忘れているんだろうなぁ……。

それにしても、このサギ……描き方がすごくシンプルですね。白描画のようにシンプルな線……というか「サギを描くのに最小限の線しか引きません!」というかのように……でもそれほど肩肘張って描いたようにも思えないような……とってもゆるくて良い描き方ですよね。

水墨画コーナーでは、性暁(しょうぎょう)さんという人が描いた《鶉図(うずらず) A-39》というのにも目が止まりました。性暁さんについては何も分かっておらず、ですがとにかく16世紀・江戸時代に描かれたものなのだそうです。

鶉(うずら)は古くより画題とされた吉祥のモチーフです。中国語では「鶴(an)」と書き、「安」と同じ発音であることから、安らかな意味を表しました。本作では、右幅に親子で群れる様子、左幅には雪のなかで寒さをしのぐ姿が描かれています。

解説より

大きく羽を膨らませた親鳥が、子どもたちに餌をあげているんでしょうか。子どもたちは餌を食べる子もいれば、親のぬくもりを感じたくて、体をスリスリと寄せているような子もいます。モノクロで描かれている絵なのに、とてもほのぼのとしていて……あたたかみのようなものまで感じられます。

ちょっとだけ彩色していますかね

この《鶉図(うずらず)》ですが、2幅で1作品のようです。上が右側に掛けてあり(右幅)、その左側には下の絵が掛けられていました。下は……雪が積もっていますね(左幅)。

二羽の鳥が、やはり羽を膨らませて寄り添っています。これは夫婦でしょうかね。そういえば、こちらも雪の描き方……表現の仕方が、先ほどのサギの描き方と同じような気がします。周りは薄っすらと墨が染み込んでいて、雪の部分だけが生地の地の白色を残すことで雪になっているっていう……よく水墨画で雪を表現する時に見かけますよね。

それにしても右側の鶉(うずら)は、なんで頭がひっくり返ってしまっているんでしょう……。

ところで、「鶉は古くより画題とされた吉祥のモチーフ」だと解説されています。そうなんですよ……わたしは鶉を直接見た記憶がありませんが……昔は縁起の良い画題だったようで、以前もトーハクでは土佐光起の《粟穂鶉あわほうずら図屏風》というのを見て、「土佐光起さんは、ほんと上手だなぁ」って思ったものです。そこには何羽もの鶉が、草に見え隠れしながら描かれていました。昔は、けっこうそのあたりで見かける鳥だったんですかね?

ということで、今回は珍しく水墨画を眺めながら……「水墨画も悪くないなぁ」って思いました。←なんで上から目線なの?

ということで、今回のnoteは以上です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?