酢 -発酵の基本知識-㊾
酢は世界最古の調味料
酢は日本を代表する発酵調味料であり、和食の基本調味料のひとつです。
「さ・し・す・せ・そ」の「す」は酢のことをさしています。
※「さ」砂糖、「し」塩、「す」酢、せ「醤油」、そ「味噌」
酢は世界最古の調味料といわれ、紀元前5000年前から古代バビロニアで干しぶどうやナツメヤシを用いて酢が作られていたという記録が残っています。
かつては酒が酸敗したものが食酢と考えられていました。
酢はフランス語でVinaigre(ビネーグル)と呼び、vin(バン:ブドウ酒)とaigre(エーグル:酢っぱい)から発生した言葉です。英語の「Vinegar(ビネガー)」の由来となっています。
日本で作られる酢はいくつか種類があります。それらは「JAS規格(日本農林規格)」によって定められています。
米、穀物、果実などの農産物から、はちみつや砂糖類を原料としたものを酢酸発酵させた液体調味料を醸造酢といいます。
酢の種類
米酢(原料:米・麹)
米を原料として作られています。1リットル中米を40g以上使用したものを米酢といいます。日本の代表的な発酵調味料の一つで、米のみで作られた酢は純米酢といわれています。米のおいしさを生かしたまろやかな酸味で、すしや酢の物、マリネやドレッシングや漬物などの加熱しない料理に向いています。
穀物酢(原料:小麦、コーン、酒粕等の穀物)
日本で一番売れているお酢で1リットル中、穀物を40g以上使用したものを指します。すっきりとした酸味で、どんな料理にも合いますが、特に加熱する料理に向いています。
黒酢(原料:米)
原材料に玄米またはこれに小麦もしくは大麦を加えたもののみを使用したもので、1リットル中に米を180g以上使用したものを指します。玄米特有のコクのある風味で中華や和食、韓国料理などに合います。
リンゴ酢(原料:リンゴ)
1リットル中、りんごの搾汁を300g以上使用したものを指します。りんご果汁の爽やかでさっぱりとした酸味が特徴で、ドレッシングやマリネやドリンクなど酸味を楽しみたい料理に合います。
ブドウ酢(原料:ブドウ)
1リットル中、ぶどうの搾汁を300g以上使用したものを指します。
リンゴ酢同様、爽やかな風味が特徴でマリネやドレッシングやドリンクなどによく合います。
ワインビネガー(原料:ワイン)
フランスでなじみの深い食酢です。ワインに酵母や酢酸菌を加えて発酵、熟成させています。赤と白があり、好みや目的別に使い分けます。ドレッシングや洋風の煮込み料理によく合います。
モルトビネガー(原料:大麦)
日本では、なじみが浅い酢ですが、主にイギリスで作られる麦芽酢で、魚のフライ用のソースとしてつかわれます。
もともとの原料は、ビールが酢酸発酵したものだといわれています。
バルサミコ酢(原料:ブドウの濃縮果汁のアルコール発酵物)
ブドウの果実を煮詰めて濃縮させ、樽で長期熟成させたものを指します。
ワインビネガーよりも熟成期間が長く、熟成期間が長い程高価であるとされています。
イタリアでは生産地が厳しく管理されており、主にモデナ地方とレッジョ地方のものをバルサミコ酢と呼んでいます。
ドレッシングやソース、フルーツやアイスクリームなどのデザートによく合います。
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