第10回 6泊7日ファスティング体験記──4泊目にしてついに外出
2回目の回復食を終えて食堂を後にした私は、下記の記事で述べたように「明日こそは仕事終わりにどこかへ外出しよう」と考えていたので、ついに4泊目にして初めて外出することになりました。
ファスティング施設は伊豆の山奥にあるため、車なしで出掛けられる場所は非常に限られていました。伊豆の土地勘はなかったものの、ひとまずは車に乗ってドライブを楽しむことにしました。ドライブコースは主に海岸沿いを走る山道でした。ドライブの途中、海岸沿いの道にあった停車場に停まると、そこからは雄大な海を眺めることができました。当日は18時頃でも夕陽が完全に沈んでおらず、海面の先にある島を目視することができました。足元には無数の丸い岩があり、久しぶりに直で波音を聞きました。波は穏やかでした。
しばらく海を眺めた後に再び海岸沿いの山道を進むと、点々と距離を置いて複数の温泉施設がありました。ファスティング施設にも温泉はあったものの、温泉が好きな私は別の温泉にも入りたくなっていたのでした。複数の温泉施設を目にしたことで、ドライブの目的が温泉施設に行くことへと変わりました。
色々と魅力的な温泉施設がありましたが、その中でもあるホテルの日帰り温泉に目を惹かれました。このホテルは外装と内装の両方がきれいに整備されており、恐らく日本の景気が良かった頃ならば多くの日本人観光客が足を運んでいたであろう場所でした。ホテル内のフロアには複数の入浴場があり、私が偶然に選んだ入浴場は海を見下ろせる高台に位置していました。入浴場の内風呂から露天風呂へと向かう道は間接照明に照らされたこぎれいな木造で造られており、その先には岩の露天風呂が待っていました。露天風呂は磯の香りがほのかにし、眼下の海と間接照明の灯りが絶妙な演出でした。もちろん内風呂も立派で、お茶風呂、ヒノキ風呂、サウナ、水風呂なども楽しめました。食事の時間帯だったからなのか入浴者も少なく、ほぼ貸切状態で豪華な温泉を満喫しました。
入浴場を出た側には食事処があり、伊勢海老などの海の幸をふんだんに使ったご馳走の写真が目にとまりました。ファスティング中なので泣く泣くご馳走はいただきませんでしたが、温泉だけではなく食事も立派な印象だったので、別の機会で伊豆を訪れた際には当ホテルに宿泊したいと思えるほどでした。再びこのホテルに訪れる機会は果たしてあるのだろうかとしみじみしたのと同時に、温泉の充実感を覚えながらファスティング施設への帰路についたのでした。(続く)
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