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ディスクな街角/連載エッセイ vol.106
※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「姿勢ッコくらぶ通信 vol.108(2018年・第5号)」掲載(原文ママ)。
『来年の事を言えば鬼が笑う』という諺がある。
『将来は予測できないので、アレコレ言っても始まらない』という例えである。
英語にも似たような表現(『Fools set far trysts』=『愚か者は遠い先の会合の約束をする』)もある事から、人類共通の人生訓なのであろう。
しかしながら……私は今、確実に『来月』の事を憂いている……。
そう……地元にいる時間がさっぱり捻出できそうにないからだ。
そもそも月初めから所属団体の本部がある倉敷への会議出張。
一度、岩手に戻ってから、その週末には川崎で一般向けセミナーの講師。
翌週末には、金沢へ一般向け大規模講演会の講師出張。
その足で横浜に寄って、所属団体会員対象のセミナーへインストラクター参加。
その翌週末にかけて倉敷で日本初開催となる『世界手技療法会議』へ参加し、研究発表2件とパネルディスカッションのコーディネーターを担当。
そして最終週には東京にて、国内業界団体の代表と、厚労省&消費者庁の担当官が集まる『カイロプラクティック制度化推進準備会議』へ参加……。
今、確定している県外出張が、これだけある。
もちろん、その『隙間』で地元での通常業務もこなすので、お客様対象の健康講座が4件、一般向けセミナー講師が1件、そして下旬には県内某私立高校2箇所での姿勢科学の授業と講演が予定されている。
(しかもそれは同日開催で、午前は、今話題のメジャーリーグ2刀流選手を輩出したH高校で2コマ授業を担当し、午後に、同じく県南におけるスポーツ校として有名なS高校で講演を担当)
結果として、いつも以上にお客様の通常施術のご予約を受け付けられる時間は制限されており、いろいろとご迷惑を掛ける事となる。
当店お客様のご理解とご協力には心から感謝である。
しかし……こうもバタバタ忙しくなると……私の『ある病』が……再発してしまうのである……そう……『海外イキタイ病』が!!
思えば3年程前が海外渡航のピークであった……。
博士号取得が間近に迫り、毎月の様に大学のある韓国へ足を運び、年初のラスベガス(LV)&ロサンゼルス(LA)研修ツアーにも例年通り参加し、春にはカイロプラクティックの世界大会に4回連続で参加する為、ギリシャにも足を運んだ。
まぁ、現地でも仕事絡みで動いているので、所謂『観光』ではないのであるが、異国の空気に触れ、異国の方々と話し、異国の食物を口にするだけで、気分はリフレッシュ!!
10年パスポートが、異国の入出国のスタンプで埋め尽くされていく様を眺めるのは、我ながらマニアックな至福タイムであった。
ところが……国内での姿勢科学教育の環境整備に重点を置いている近年(冒頭部参照)では、めっきりと『大人しく』なってしまい、今年に至っては、海外渡航が、年初のLV&LA研修ツアーのみ。
海外出張が1回こっきりなのは、思えば丸々10年振りとなった。
う~む……コレは『異国探訪』を活動の『ペースメーカー』としてきた自分としては、少々ツライ……。
ただ、状況を憂いてばかりいても始まらないので、日々の『国内業務』に集中しつつ、次回の海外渡航に思いを馳せて踏ん張るしかない。
そういえば先日、来年初の恒例LV&LA研修ツアーへの参加費を振り込んだ。
次回で15年連続の参加となる。
まぁ、世界最大の手技療法の祭典である『パーカーセミナー』がLV開催をやめない限り、この研修が途切れる事はないであろう。
パーカーサマサマである。
そんな私の近年の密やかな愉しみといえば、自宅で夜な夜な開催される『LV&LAを舞台とした映画の鑑賞会』。
ご存知の通り、LAは『映画の都』と称されるだけあって、その手のモノは引く手あまた。
そしてLVも、街全体が虚実入り混じるテーマパークみたいなものなので、実に様々なタイプの作品の舞台となっている。
映像ソフトは『レンタル派』ではなく『購入派』のワタクシ、リビングの棚に関連ブルーレイソフトをズラッと並べ、その日の気分で作品を選び、画面に映る『見たことのある街角』に思いを馳せながら、来るべき次回の渡航へ向けて、モチベーションを向上させるのである。
ニヤニヤ……。
しかしながら……これはこれで最近、問題が発生。
そう……メジャーな作品は、ほぼ網羅してしまったので、新鮮味がなくなってきたのだ。
これは日々繁忙を極める自分の、活動モチベーション維持の為にも大問題。
至急対策を検討した結果……私の導き出した答えが……『映画以外の映像ソフト』の開拓。
まぁ、所謂、街角の風景を写した『環境映像』的なもので、近年のインターネット通販環境の拡大が、そんなマニアックなニーズを満たしてくれる。
いい時代になったものである。
そんな中、私が最初に『ポチッた(注文した)』のは2作品。
LA滞在時に活動拠点とするダウンタウン地区の路地をお洒落に切り取った(らしい)作品が1つ。
もう1つは、搭乗ロビーにスロットマシンが常備され、着いた瞬間に街の空気が感じられるLVのマッキャラン空港を特集した(らしい)もの。
どちらも現地を感じさせてくれる内容に違いあるまいと、作品解説文を信じて待つ事、数日。
職場の郵便受けに大手インターネット通販のロゴ入り大判プチプチ封筒が届いた。
帰宅後、いつも歩いている『あの街角』が映り込むか期待しつつ、まずはLAのディスクから再生。
……う~ん……路地だね。
……題名通り、紛う事なく路地だね……。
ただね……これ、路地は路地でも……治安の問題上、現地の人間以外(むしろ現地の一般人でも)歩く事を避けそうな路地だよね!!
スプレーの落書きがステキだね!!
散乱するゴミがクールだよね!!
そこに写り込んでいる毛布、きっとさっきまで誰かが包まって横たわってた系のヤツだよね!!
ハイ、終了!!
……チ~~ン。
気を取り直して、LVのディスクを続けて再生。
……う~ん……空港だね。
……題名通り、紛う事なく空港だね……。
だって、離着陸する飛行機が70分間、ひたすら映ってるんだもん!!
その一機一機が、どこの航空機メーカーに製造された機種で、どこの航空会社に所属しているか、解説スーパー付きだもん!!
最後には空港周辺での撮影ポイントのマップ付きだもん!!
……って、すべて『敷地外』からのアングルだぁぁぁあああ~~!!
コレ、チガァァァアアア~~ウ!!
……チ~~ン。
まぁ……我々世代のいうところの『ジャケ買い(ジャケットだけを見て内容を確認せずレコード&CDを購入する古き善き勇者の伝統)あるある』である。
しかし……私はめげない。
すべての事柄に無駄なものは1つとして存在しない……。
そう、今回の顛末が、このエッセイのネタに昇華されたように……。
そしてまた私はポチる……。
今度は『LAの空撮映像』だ!!
その顛末は……いずれまた!?
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