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がん薬物療法の現場も医療者不足。ハカルテにできることとは?

がんの罹患者数が増え、また医学の進歩により治療期間が長期化してきていることで、がん薬物療法を行う患者数がますます増加している現代。
一方で医療体制の人員不足や、通院治療と生活を両立する上でのQOL維持向上など、課題も山積しています。
 
前編に引き続き、後編ではがん患者さんに必要な心がまえについて、腫瘍内科医として長年がん診療に携わっている関西医科大学附属病院がんセンター センター教授の金井雅史先生にお話を伺いました。

プロフィール

金井雅史先生

平成6年3月 京都大学医学部 卒業
平成6年4月 京都大学医学部附属病院 内科研修医
平成7年6月 関西電力病院 内科勤務
平成9年4月 京都大学大学院医学研究科 博士課程内科系専攻入学(医学博士)
平成13年6月 京都桂病院 消化器センター勤務 (副医長)
平成16年1月 MD アンダーソン癌センター ポストドクトラルフェロー・日本学術振興会 海外特別研究員
平成18年4月 京都大学附属病院探索医療センター 助手
平成23年4月 京都大学大学院医学研究科 臨床腫瘍薬理学講座 特定講師平成27年4月 京都大学大学院医学研究科 臨床腫瘍薬理学・緩和医療学講座 特定准教授 
令和2年2月 京都大学大学院医学研究科 腫瘍薬物治療学講座 准教授
令和6年1月 関西医科大学附属病院がんセンター センター教授
令和6年7月 関西医科大学附属病院臨床腫瘍科 診療科長

短い診察時間、大切なのは「問診票」

ーーがん薬物療法を必要とする患者さんが増え、治療期間も長期化しているなかで、患者さんの生活の質 (QOL) 維持向上はますます重要になってきていますよね

1990年代より以前は、がん薬物療法は主に入院で行われていました。
延命できたとしても数ヶ月程度で、かつ副作用の吐き気に対する支持療法も少なかったので「苦しい思いをした入院期間分だけ生存期間が伸びる」と揶揄されることもありました。

近年は吐き気をコントロールする支持療法も進歩し、入院でなく外来でがん薬物療法を受けられるようになったので、QOLを維持した状態で治療を続けていくことがますます重要になってきています。

切除不能ながん患者さんに対するがん薬物療法は、マラソンのようなもので長期戦となります。
副作用の程度は個人差も大きいのですが、ご本人にとってあまりにもしんどい治療になるようであれば長く続けることはできません。
患者さんの体力を維持しながら続けられるように、お薬の種類や投与量などを調整することが大切です。

ーーそういった治療の選択やペース配分などは、患者さんの価値観によって選びたいものが様々だと思います。治療方針の意思決定をする際に、患者さんとのコミュニケーションで気をつけていることなどはありますか?

ご指摘の通り、患者さんによって価値観は異なり、希望される治療法も変わってきます。
ご自身でかなり調べていらっしゃる方から、全て先生にお任せしますという方まで本当に様々です。
なので、一律で同じ説明をしても伝わりません。患者さんのニーズに合わせて説明内容や話し方は変えるようにしています。

医療者側としては、外来診察の前に患者さんに問診票をしっかり書いてもらえると、副作用の発現状況を短時間で把握できるので大変助かります。
問診票の情報は看護師や薬剤師など、他の医療スタッフも確認しています。

このように問診票は限られた診察時間の中で医療者が患者さんの全身状態を正しく評価することをサポートしてくれる大事な役割を果たしてくれています。

ただ、問診票をしっかり書いていただくにしても、日が経つとどうしても記憶があやふやになってしまうので、ハカルテのようなツールを使って、こまめに記録しておくのが良いと思います。
ハカルテに入力された情報をそのまま印刷できる機能が備われば、問診票の代わりに使えるかもしれません。

さらにハカルテに入力された情報を電子カルテ上でメディカルスタッフが閲覧できるようになれば、問診業務がより一層効率化すると思います。

ハカルテに期待したい「がん治療の未来図」

ーー金井先生がハカルテに期待してくださっている部分は、他にはどんな点がありますか?

例えば、ハカルテを使っている患者さんが毎日体の症状を記録するなかで、治療介入が望ましいと考えられる体調変化に関する情報が入力された場合、ハカルテがそれを感知して、患者さんに病院への連絡を促すアラートを出したり、自宅での対処法に関する情報について表示してくれるようになるととても良いと思います。

現状はがん薬物療法中に気になる症状が出た際には病院に電話で連絡するよう患者さんに指導していますが、電話対応にもマンパワーのリソースを割かなくてはならず、患者さんから電話をかけてもなかなかつながらないという苦情を受けることもあります。

ハカルテにこまめに症状を記録していれば、発熱が何日続いているのか、痛みがどの程度でどれくらい続いているのかなどが一目でわかるので、医療者側としても指示が出しやすいと思います。

もしハカルテ専従の看護師さんがオペレーター的に対応する体制が構築できれば、患者さんがオンラインで不安なことを相談できますし、また家庭の都合などで病院勤務は難しいけれど看護師資格を生かしたい、という方の雇用も生み出せるのではないかと考えます。

ーーがん治療の医療体制には課題が山積みであると思いますが、金井先生の中で目指していきたいがん治療のビジョンはありますか?

患者さんの数が増え、医学の進歩により治療や薬の種類といった情報量も増えている一方、医療スタッフは増えないという状況下で、患者さんに安全に治療を受けていただくためには、患者さんにもご自身が受けている抗がん剤の特徴を含めて、がん治療に関する正しい知識を身につけていただくことが重要と考えています。

関連情報を入手した際は、その発信源が信頼できるものかどうかを確認して下さい。
またハカルテのようなツールを使ってご自身で正確に体調や副作用を記録して、短い時間の中でもしっかりと医師に状況を伝えられるようになることが大切です。

ハカルテのようなツールは既に海外では臨床導入されており、がん薬物療法中の副作用の早期発見に貢献し、重篤な副作用の割合が減ったという臨床研究データも報告されています。

国内においてもハカルテのようなツールが普及し、患者さんと医療者の双方にとって大きなメリットをもたらしてくれることを期待しています。

ーー金井先生、ありがとうございました!

▼「ハカルテ」アプリのダウンロードはこちら
App Storehttps://apps.apple.com/app/apple-store/id6470423741
GooglePlayhttps://play.google.com/store/apps/details?id=com.hakarute.user.android

「ハカルテ」公式HPはこちら
https://hakarute.com/


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