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【毎日短歌】満ちていく/藤井風【音楽レビュー】

愛されるために 愛すのは悲劇だと
呟いてみれば 風光る


藤井風さんの新曲が遂にリリースされましたね!

明けてゆく空も暮れてゆく空も
僕らは超えてゆく
変わりゆくものは仕方がないねと
手を放す、軽くなる、満ちてゆく
満ちてゆく

1番、サビ

 タイトルは「満ちていく」。
全てのものは避け難く変わっていき、あるいは終わりが来る。
そのかけがえのない大切さに失って気づく僕らはどうしようも無い生き物なのだけど、でも、受け入れよう。むしろ手を放すことで、何か心が満ち足りていく。

 やはり藤井風さんの歌詞は好きです。
僕を優しく包んでくれる。ありのままの弱さを「それでいいんだよ」と優しく囁いてくる。ええねんと、だからなんなんと、鼻の先にくぐもった虚しさ未満の何かを、吹き飛ばしてくれる。
ほんとに大好きです。


 さて、藤井風さんは「グレイス」のmv撮影でインドに行っていましたが、やはり仏教の影響をかなり受けている様ですね。
「手を放す、軽くなる、満ちていく」と言う表現が歌詞中に何度も表れており、キーフレーズと言っていいと思います。
ここで2番の歌詞を見てみます。

手にした瞬間に 無くなる喜び
そんなものばかり追いかけては
無駄にしてた"愛"という言葉
今なら本当の意味が分かるのかな

ここでは即物的な喜びを追い求める若者の貪欲さが描写されています。
仏教の三毒でいうところの貪ですね。
そうした貪と手を放すと。
まさしく仏教の「放下」の考えです。

過酷な現実を受け入れて、乗り越えがたい四苦八苦と三毒と手を放す。
藤井風さんは涅槃寂静の境地を切望してるように見えます。
岡山弁の穏やかな喋りもなだめるような優しい曲調も、温かい歌詞も、jpopとSNSという新しい形で伝えようとしてくれています。


 ところで、このフレーズを見てほしいのです。

愛される為に
愛すのは悲劇

はあああああ。好き。
確かにそう。打算的な感情の交換は愛とは呼べない。
値段をつけて交換した時点でその感情は商品になる。ジャニーズやら韓国アイドルやらが叩き売りするチンケなそれと大差がなくなるように思うのです。

自分が見返りを求めて行動してしまえば、他人も自分に見返りを求めて行動するような気がします。
家族や恋人、兄弟の間の愛の形がそんなのでは嫌です。
僕は息子として兄として、家族に与えて、与えられる存在でいたいと思います。


最後までお読みくださりありがとうございます🌟

「満ちていく」が主題歌となった
映画「四月になれば彼女は」

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