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答えよりも大事なこと。ミッション刷新の裏側

答えは世の中にたくさん転がっている。
「こうすれば解決する。」「これをやるとうまくいく。」「このやり方が絶対だ。」こうした答えを示すコンテンツとは多くの場面で遭遇する。これは全く悪いことではないし、シェアされていることで僕自身も何度も助けられてきた。

ブランディングやマーケティング、デザインやマネジメントの重要性。「伝える」という仕事の重みも、どこからかの情報が”きっかけ”で気づくことができた。けれども、そうした答えを得ることよりも大事なことがある。それが「問う」こと。

世界最高峰のコーチと称されるアンソニー・ロビンズは「質の高い質問が、より質の高い人生をつくる。(Quality questions create a quality life.)」と言っている。また、画家のピカソはかつて以下のような言葉を残したそう。
「コンピュータなんて役立たずだ。答えを出すしか能がない」

実際に仕事柄、日々多くの経営者の方に様々な切り口から問いを立てているが(単純に興味が湧き出て聞かずにはいられないというのもある)皆さんやっぱり答えを示されるよりも問いを立てられる方がありがたいと言う。

答えを得ることよりも答えを探すほうがワクワクするのだと思う。あとは、問いを立てられることで日々の決断に意味が生まれる。固定概念からも解放され、価値観や目指す世界観が整理されるというのもあるはず。

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少し話が脱線するが、今月、僕が所属するアプリコットデザインでは、会社のミッション(パーパス)を刷新した。改めてアプリコットデザインが大切にしたいコト、守るべきものやコトは何なのかを整理したかった。主にブランドコミュニケーションチーム主導で、弊社の代表とライターの方でこのプロジェクトを進めていき、そこで大事にしたのは「ミッションステートメントの中に答え盛り込まない」ということ。

内容は以下の通り。

「シアワセをデザインする」

誰もが誰かの評価を気にすることなく、 素直な心のままに「シアワセだ」と、満たされていてほしい。
だから私たちは、あなたを問うことから始めます。
拠り所とする価値は、どこにあるのか。 心を動かす何か、力を尽くしたいこと、守りたい誰かについて。
一つずつひも解き明らかにしていきながら、 世間体や時代の波にも揺るがないあなただけの「シアワセの基準」を、 共に描いていきたいと思います。

実は「シアワセをデザインする」という言葉自体は創業間もない頃から存在する言葉だ。言葉とは不思議なもので、時代が変化したり歴史が積み重なっていくとその言葉の捉え方や文脈も徐々に変化する。それでも「シアワセをデザインする」という僕たちの根底にある想い自体は変わらない。

というわけで今回の刷新では、定義の再確認を行い、変更したのは主にボディコピーのみ。「これがシアワセである」という答えを示すのではなく、問いを立てることを主なテーマとした。なぜそうしたかというと、何がシアワセであるかは人それぞれなのに、ミッションの中で何がシアワセであるかを示すのはおかしいと感じたから。

それと、これはあくまでも個人的な以前までの捉え方だが、「シアワセをデザインする」という言葉を聞いた時に、「”アプリコットデザインが”誰かのシアワセをデザインする」という意味が強く感じられ、あくまでも主語がアプリコットデザインで会社の意志が90%くらいの感覚で捉えていた。

だが、改めてプロジェクトメンバーで時代の流れや自社の在り方について、ディスカッションを重ねていくと、実はそうではないことに気がついた。つまり主語は「あなた」であるということ。それを伝えないことには始まらない。

あくまでもシアワセをデザインするのはあなたで、僕たちはそのお手伝いをする立場であるという役割分担をボディコピーで表現した。こんなミッションのカタチもあって良いと思う。アプリコットデザインはそんな会社です。

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話を戻しますが、僕たちは幼少期、常に正しい答えを求められてきた。既に答えがある問題が目の前に用意されて、それと一致していれば良しとされてきた。けれどもそれだけが全て善としてしまうと、答えが存在しない問いに直面した時に足踏みしてしまう。課題を突破する力、ぶっ飛んだ発想や未来志向がどうしても育まれない。

僕が20代の頃に出会った尊敬する経営者の方が、「選択すること自体にはあまり意味がなくて、選択したことを正解にすることにこそ意味があり、人生や企業活動における楽しさはこれを小さく積み重ねていくことで得られる」とよく言っている。

もう何年も前にこの言葉を聞いた時は正直、「そうなんだ〜かっこええな〜」くらいに思っていたが、僕自身も日々荒波に揉まれながら、何とかこうして充実した日々を送れていることを振り返るとこの言葉がジワジワくる。そもそも人生や企業活動における正解はアート的なものなので、この考え方の方が腑に落ちる。

誰かからの答えは一つの大きなきっかけとして、自分の中で一度は咀嚼し、
そこからまた新たな夢中になれる問いを見つけ、選択を正解にするために行動する。そして知恵や知識を自分のものに変えていく。日々この繰り返し。

このプロセスの中で「あいつはちょっと変わってる」と言われるくらいがちょうど良いのかもしれません。
(変わり者と言われる人ってある意味自分らしく生きている証だと思っている。)

新しい意味や価値を見出す問い。
根底にある価値観を捉え直す問い。
固定概念から解放する問い。
have toとwant toをバランス良く。

僕は今後もそんな問いを生み出すことを大事にしながら変化や成長を願う方の挑戦を誰よりも強く支えられるよう、ブランディング支援を通じて選択を正解にするシーンに伴走していきたいと思う。


※MVC(ミッション/ビジョン/コンセプト)刷新ついてのより詳細な記事はブランドコミュニケーションチームを通じてまたどこかでアップします。


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