【R18小説】『ガチムチ系年下サラリーマンと大衆食堂で働くポチャ系アラサー女子の恋ものがたり~16』
*桃乃の告白~(16)
*
「ん? なんだろう? 聞こえないな」
と、わざと、とぼけるようにいったので、わたしは、真鍋さんの、そのいたずらっぽいしぐさに、まるで、むかし、よく読んでいた少女漫画の、ヒロインみたいに、おもわず、胸が
(きゅん……)
と、して、まるで、そのまま、時間がとまってしまったみたいに、うごけなくなってしまいましたが、そんな、わたしの顔を、真鍋さんが、いかにも楽しげなようすで、にこにことしながら、ながめていることに、きがついたので、わたしは、すぐに
(……いけない、いけない)
と、おもい、こころのなかで、首をふると、あわてて、真鍋さんから視線をはずし、真鍋さんに、みられないよう、目をふせると、ちょっと、くすぐったいきぶんになるのを、なんとかおさえながら
「……もう、大介さんたら、からかわないでちょうだい」
と、いおうとしましたが、わたしが、さいごまで、言い終わらないうちに、真鍋さんのくちびるがおりてきて、そのくちびるを、わたしのくちびるに、かさねてきたのでーー
〈つづく〉
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