【R18小説】『ガチムチ系年下サラリーマンと大衆食堂で働くポチャ系アラサー女子の恋ものがたり~6』
*桃乃の告白~(6)
***
そして、そんなじぶんがきゅうに惨めになり、涙で視界がぼんやりにじんでいくのをかんじたので、わたしは、涙をかくすために、食器をかたづけるふりをしてキッチンにむかうと、真鍋さんは
「そんなの、あとで俺がやるからいいですよ」
と、いってくれましたが、わたしは、こんなのすぐにすむから、だいじょうぶといい、いそいで食器を洗うと
「それじゃ、わたしは、そろそろ」
と、彼に別れを告げて帰ろうとしましたが、真鍋さんが
「それなら家まで送りますよ」
と、いってきたので、わたしは、あわてて、まだ十二時まえだからだいじょうぶだといい、真鍋さんのほうこそまた無理をして風邪をぶりかえしたら大変だから、ゆっくりしていたほうがいいわ、といって、リビングをでようとすると
⑬
(えっ……)
とつぜん、うしろから、真鍋さんが抱きしめてきたので、わたしはおどろき、あまりにもとつぜんのできごとだったので、どうしたらいいのかわからず、とまどっていると、真鍋さんは、わたしの肩に腕をまわしたまま、わたしの髪に顔をうずめて、苦しげなかすれた声で
「……どうしよう。俺、桃乃さんのこと離したくない」
と、いい
「好きです。はじめてあったときから、ずっと」
と、うめくようにいったので、わたしは
(えっ……)
と、おどろき、そして、どうするべきか迷いましたが、でも、わたしには、とうてい彼のせつなげな声にあらがうことなどできなかったので、わたしは、答えるかわりに、わたしの顔の前で交差している彼の腕のうちがわにそっとひたいをつけました。
⑭すると、わたしをとじこめていた真鍋さんの腕のちからがふっとゆるみ、わたしのカラダのむきをかえると、そのまま、わたしを胸のなかに抱きしめたので、わたしは、どうしていいかわからず、彼の腕のなかで、身をちぢめながら、彼の匂いや体温をかんじていると、真鍋さんは、そのおおきな手で、わたしの髪をなでていましたが、そっと、わたしから身をはなすと、そのゴツゴツとした太い指先で、わたしの顔にかかる髪をすくいあげ、わたしの耳にかけながら、そのぶあつくて、わたしの顔がすっぽり隠れてしまうほどおおきな手のひらでわたしの頬にふれてきたので、わたしは、彼の手のひらから、彼の体温がつたわってくるのをかんじました。
⑮そして、真鍋さんの指先が、わたしのあごのしたにふれ、そのまま上にあげたので、わたしは、顔をあげると、わたしをみおろしている真鍋さんの視線とぶつかり、その瞳が、やさしく、熱っぽく、せつなげな色をたたえていたので、わたしは、まるで、その瞳にみいられたように、そのままうごけなくなっていると、真鍋さんは、わたしのカラダをささえるように、わたしの腰のうしろに手をあて、そしてもう片方の手で、わたしの頬にふれながら、首を少しかたむけ、ゆっくりと、わたしの顔に、顔をちかづけてきたので、わたしは、もうなにもかんがえられなくなり、息をとめ、まぶたをとじました。
⑯そして、わたしはまぶたが小刻みに震えるのをかんじながら
〈つづく〉
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