【R18小説】『ガチムチ系年下サラリーマンと大衆食堂で働くポチャ系アラサー女子の恋ものがたり~4』
*桃乃の告白~(4)
⑨
わたしは、真鍋さんのアパートの部屋のなかにはいるのはじめてだったので、ちょっと緊張していましたが
真鍋さんのほうも、よほどわたしが訪ねてきたことにおどろいたらしく
「ちらかってて、すいません」
と、あわてて部屋のなかをかたづけながら、わたしに壁ぎわのローソファに座るようにとすすめてくれたので、わたしは、連絡もせずにとつぜんおしかけてしまったことを申し訳なくおもい
(やっぱり、彼女でもないのにこんな時間におしかけて迷惑だったかな……)
と、勝手にアパートにおしかけてきてしまったことを後悔していると、おおきな背中をかがめて冷蔵庫のなかをのぞきこんでいた真鍋さんが、さらにあわてたようすで
「あの、すいません。なんか、うち、ビールとプロテインとミネラルウォーターと栄養ドリンクしかなかったみたいで。いまからひとっぱしりコンビニにいってなんか飲み物買ってきます」
と、いまにもリビングをとびだして、外にかけだしていってしまいそうだったので
(えっ!)
「あっ、あの……」
と、わたしは、あわててひきとめると、バッグのなかに、じぶんの水筒をもってきているからだいじょうぶだといい、なんとか彼をひきとめました。
⑩
すると、真鍋さんは
「そうですか」
といい、まるで洞窟にとじこめられてしまった巨人さんのようにおおきなカラダを所在なげにして、ちょっとこまったように、片方の手であたまのうしろをかきながら
「すいません。うちにお客さんがくるの、はじめてなもんで。こんどは、ちゃんと用意しておきます」
と、いってくれたので、わたしは、
(真鍋さんが彼女がいないっていってたのは、うそじゃなかったんだ……)
と、おもい、うれしさで胸がいっぱいになりました。
⑧
すると、真鍋さんは
「それにしても、桃乃さんがお見舞いにきてくれるなんて嬉しいな」
といい
「桃乃さん、夕飯は?」
と、聞いてくれたので、わたしは、お店で軽くすませてきたからだいじょうぶだといい、それよりも、よかったらキッチンを借りて、おかゆをつくりたいのだけど、と申しでると、真鍋さんは
「ほんとですか!」
と、うれしそうにいってくれると
「それじゃ、俺、そのあいだにちょっとシャワー浴びてきますね。めちゃめちゃ汗臭いんで」
と、いって、ものすごい勢いでリビングをでていってしまいました。
⑨
なので、わたしは、すぐちかくで真鍋さんがシャワーを浴びているとおもうとどきどきして、緊張してしまいましたが、それでもなんとか気をおちつかせるようじぶんにいいきかせながら、リビングにはいってすぐのところにあるキッチンを借りて、片手鍋でお湯を沸かして、レトルトのおかゆをあたためていると、廊下のほうから、ばたばたと、おおきな足音とともに
(ガチャッ)
と、ドアがあく音がして
〈つづく〉
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