【R18小説】『ガチムチ系年下サラリーマンと大衆食堂で働くポチャ系アラサー女子の恋ものがたり』
*桃乃の告白~(27才・未婚女性)
*
①
それは、いまからちょうど一年前の夏の終わりのことでした。その当時、わたしは、叔父夫婦が営んでいる食堂で働いていて、その常連のお客さまのなかに、ちょっと気になっている男性がいました。
②
その男性は、真鍋大介さんという某大手飲料メーカーに勤めている会社員の男性で、半年ほどまえに、東京の本社から、こちらの北千住支店に転勤になり、こちらもいつもうちの食堂にきてくださっている同じ職場のかたにつれられて、はじめて店にこられて以来、ほぼ毎日のようにうちの店に通ってきてくれるようになりました。
③
真鍋さんは、わたしよりもひとつ年下で、おどろくほど背が高く、がっしりとしていて、日に焼けた肌にスーツがよく似合う、女性なら誰でもおもわず目をうばわれてしまうほど、魅力的なひとでしたが、性格もとても明るく、いつも元気で、誰にも気さくで、ひとなっこいところもあったので、叔父夫婦も、すぐに彼のことが気に入り、まるで自分の息子のようにかわいがるようになっていたので、わたしもしぜんに親しくなり、彼に誘われて、何度かふたりきりで食事にいったり、映画にいったりすることがありました。
④
なので、わたしは、内心、もしかしたら、彼がわたしに好意をよせてくれているのかもしれないと、期待していましたが、食事や映画にいっても、手すらにぎらず、夜九時まえにはわたしをアパートのまえまで送り届けて
「えっと、それじゃ、俺はこれで」
ーーと、そそくさと立ち去ってしまうので、
わたしは、彼にとってじぶんは異性ではなく、ただの〈親戚のおねえさん〉くらいにしかおもわれていないんだわ、とおもい、じぶんの勘違いをはずかしくおもいながら、それでも、日に日に募ってくる彼への想いを彼にきづかれないように、じぶんの胸だけに秘めながら、日々をすごしていました。
⑤
そして、季節は夏になり、夏も終わりにちかづいたある夜のことです。
〈つづく〉