児童虐待の問題は「保護もれ問題」である
児童養護施設などの社会的養護への保護率が、非常に低いと感じてきましたが令和2年度の以下のデータから算出すると、児相の虐待相談対応件数が、205,044件に対し施設入所が4,348件なので、わずか2%の保護率という低い数値になっていることがわかります。
児童虐待防止法が制定されたのが2000年ですから、それ以前は、児相が児童虐待に対応しておりませんから平成、昭和と遡るほど、子どもの数も今より多い時代でしたし、実際の虐待件数は、20万件どころではないと推定されます。
今の子供たちでも、児相につながらない「未発見」も多くいると思いますので、保護率は2%より実際はさらに低くて1%以下だろうと私は予想しています。
「未発見」がいる証拠に、今でも「虐待死」が度々、起きています。児相が発見して、施設に保護していれば100%、死ななかった子供たちが、たまたま殺されて虐待が発見されているので、殺されないで虐待を受けている「未発見」の子供たちは、今でも相当数いると予想できます。「見過ごされた子どもたち」が今も昔も相当数いるという実態は、大人になってからも複雑性PTSDで一生涯に渡り苦しむ人が多いことを考えると、大変なことだと私は思います。
厚労省はこの実態を知っていて、統計上わずか2%の施設の子供たちだけ支援を拡充し、虐待対策をやっているフリをしていますが、発見されているだけで2%しか保護されないならこの国は、虐待対策を何もしていないに等しい話になっていると思います。
これでは、虐待児は、大人になって複雑性PTSDになったり、貧困になったりして、虐待が次世代に連鎖したり犯罪を犯してしまうのは当然の結果であって、私個人は、虐待サバイバー問題や、児童虐待の問題はイコール「保護もれ問題」だと思っております。
施設に保護されないと虐待家庭から大人になるまで逃れられないのだから、複雑性PTSDになることは、防げないのです。まず、虐待親から子供を切り離さないと、2%だけ切り離して何の解決になるのかといったところです。
こうしたことを声をあげていこうと考えています。
※虐待の後遺症(複雑性PTSD)については、以下の書籍にまとめてあります。精神科医の和田秀樹先生との対談・監修つき。