2019年1月に読んだもののメモ
今後、ゆるゆる月に1回ぐらいの更新を目指します。
千葉 雅也、二村 ヒトシ、柴田 英里(2018)『欲望会議』
自分の研究対象であるポルノグラフィの問題も、本書の中心的テーマ。
千葉雅也先生の合いの手、整理、ブレーキのかけ方は見事だと思ったのだけれども、それをふりほどいてさらにアクセルを踏む柴田さんには危うさも覚える。とりわけ問題だと思うのは、「フェミニスト」を非常に一枚岩としてとらえているのではないかという点。
ニクラス・ルーマン(1982=2005)『情熱としての愛』
読書会で読んでいるところ。まだ半分。「ルーマン語」ってこんなに読めないものなのか、と凡庸な絶望をした。
関連して、
• 東園子,2015,『宝塚・やおい、愛の読み替え―女性とポピュラーカルチャーの社会学』新曜社.
• 三上剛史,2007,「「切り」つつ「結ぶ」メディアとしての〈愛〉――Liebe als Passion (N. Luhmann) 解釈のためのノート」神戸大学大学院国際文化学研究科紀要『国際文化学研究』29: 93-116.
• 森山至貴,2008,「〈愛〉の決疑論」『ソシオロゴス』32: 198-215.
• 大澤真幸,2004,『性愛と資本主義 増補新版』青土社.
を読む。森山至貴先生の博論本、『「ゲイコミュニティ」の社会学』は特に重要なので、並行して読んでいきたい。
慎改康之(2019)『フーコーの言説』筑摩書房.
もちろん、M.フーコーの研究の歩みを一貫したテーマのもとで説明するという営みは、本書以外でもさまざまになされているが、本書はその作業を『狂気の歴史』以前の「前フーコー」的著作から始め、かつ2018年に発売されたばかりの『肉の告白』まで含めて行っている。
大変読みやすく(ルーマンの後だったからかもしれないけど)、勉強になった。
E・M・フィリップス/D・S・ピュー(2015=2018)『博士号のとり方 第6版』
博士課程3年間の計画の立て方から、博士論文に求められる水準、「書く」コツ、指導教員との付き合い方、ハラスメントへの対処法などなど、分厚くてちょい高価な分、痒い所に手が届く内容。大学教員&大学職員へのアドバイスも同じ本に掲載するのは必要なのかな、とはちょっと思った。
博士課程進学直後の情熱は徐々に失われていくものなので、重要なのは情熱ではなく(そして聡明さでもなく)地道で継続的な努力。情熱が鎮火した最終局面では、「仕事」のように「終わらせなきゃ」の精神、つまり「決意」こそが博士号取得へと導くらしい。
個人的には、口頭試問への準備の仕方も載っていたのが助かった。何せ、こんな本読んでるけど、博士課程進学はまだ決まっていない立場なので……(2月8日に口頭試問)。
番外編:平本アキラ『監獄学園』
前からぼちぼち読んではいたけれど、ようやく最終巻まで読み終えた。
どうしようもないエロと、どうしようもないギャグ。にもかかわらずだからこそ、ジョジョ4部で吉良吉影がサンドイッチの袋を取り返すときみたいな喜劇的スリルがずーっと張りつめていて、天才としか言いようがない。こんな漫画、唯一無二。特に、17巻は何度読んでも最高の百合。一つの到達点。