会社の成長を支えるナンバー2の育て方 vol.80 ナンバー2の役割⑥調整役の機能
【調整役に対するイメージは良い?悪い?】
調整役と聞くと皆さんはどんなイメージを抱くでしょうか?
社内政治に聡くて、自分では特に何もしないのに、高圧的に指示を出すだけだったり、「社長がこう言っているからよろしく頼むよ~」とイエスマンが無責任に丸投げしてきたり、各部署やメンバーに真摯にネゴをしたりとさまざまな態様があるかと思います。
やり方の良し悪しはさておいて、調整役は組織において、異なる意見や否定的な意見を受け入れつつも、調和と共感を大切にするバランス感覚が求められます。
適切な調整役とは、組織を構成するメンバーとの協力を通じて組織全体を活性化させ、さまざまな意見や考えを尊重しながらも目標に向かって推進させることが期待される重要な役割です。
ちなみに調整役は過去の記事でお伝えしてきたナンバー2の各機能ともちろんリンクしていますので、未読の方はあわせてご覧ください。
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調整役がいない会社では何が起きるのか?
調整役がいない会社では社長のトップダウンに現場のメンバーが右往左往してしまう場合も少なくありませんし、社長が旗を振っていても目標未達が常態化してしまうこともあります。
調整役がいない場合、情報の伝達が滞りやすくなり、部門間や従業員間での情報共有が不十分となりやすく、コミュニケーションの不足から誤解やミスが生じ、モチベーションの低下をもたらす可能性があります。
また、効果的な協力やプロジェクトの進行に支障が生じることがあり、同じ会社内でも異なる部門や個人の利益調整が不十分であると社内での対立を生むことがあります。
ボトムアップの場合はどうでしょう。現場の社員から気兼ねなく意見を上げる社風であったとしても社長に何でも言えばいいという訳でもありません。
例えば、現場がどれだけ疲弊しているか、それを改善するために今すぐ増員する必要があると訴えてくるような場合です。採用ひとつとっても多額のコストと時間がかかりますし、人が増えても教える体制がなければ増やす意味がありません。人が増えればそれだけ売上を増やす必要もあります。
現場しか見ていない社員にとっては増員が唯一の解決方法だと悪気もなく信じて疑わないかもしれませんが、実は現場が疲弊しているのは仕事の進め方が悪いのかもしれませんし、報連相やコミュニケーションが上手くいっていないことが原因かもしれません。けれども、増員だけが答えのような短絡的な考え方で意見を述べる者は要望に応じてくれないと不満を抱くかもしれません。
こうした場合に状況を客観的に判断できる存在が関与しないと経営側と社員との間に無用な対立が生まれるばかりですので、これを収めるのもまた調整役の役割のひとつです。
調整という仕事への誤解
調整役は社長の御用聞きでもなく、現場の声を代表するだけでもありません。調整役はさまざまな課題に対して、あるべき姿を想定し現実とのギャップを埋めるために、バランス良く利益を調整し、感情に配慮し、より適切な手段、方法を検討し、実行することが本質です。
組織では人の数だけ価値観や受け止め方がありますので、目標や方向性をただ示すだけでは現場のメンバーはなかなか行動しませんし、行動したとしても嫌々やっていたら目標達成も難しいかもしれません。
なによりも声にならない不平不満だけが蓄積されるのであったら、組織力、団結力などはいつまでたっても向上しません。
こうした組織にとって望まない結果にならないように調整を図ることが大事ということを忘れて社長の単なる伝書鳩になってしまう場合がありますので調整という仕事への誤解を払拭して頂きたいものです。
調整役はオーケストラの指揮者のようなもの
調整役は、オーケストラの指揮者のような存在と言えばわかりやすいでしょう。いうまでもなく指揮者は、さまざまな楽器や奏者をまとめ、調和のある音楽を創り出す役割です。オーケストラでは指揮者が調整と調和を指揮し、楽譜を通じて美しい音楽を奏でるという方向性を示し、各奏者に合図を送るように、調整役も組織のビジョンや戦略を基に、組織全体が目指すべき方向に導くために、関係部門やメンバーに対して情報やサポートを提供し、協働を促進させる重要な役割です。
調整役の機能とは
さて、前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、調整役としての代表的な機能を以下に解説していきます。
情報整理と伝達、共有
社長からの指示や構想を正確に理解し、それらを組織内で適切に共有します。プロジェクトなどに関する情報をまとめ、背景、目的、目標や計画などを関係者に効果的に伝達する役目です。
関係者のコーディネート
異なる部署やチームとの調整を担当し、全体の進捗状況を管理し、目標に向けて異なる部門が協力して仕事を進める際に、円滑な連携ができるようにサポートを行います。
意思決定のサポート
社長の意思決定を補完し、情報提供や分析を通じて助言を行います。戦略的に判断し、組織の方針に合致した具体的方法を検討し実行します。
チームの連携強化
組織内の異なる部門やチームが効果的に連携できるように手配し、協力関係を築き、全体の業務効率を向上させ、円滑なコミュニケーションを確保します。
リスク管理
組織が直面する変化や危機に対応するため、平時からリスクを洗い出し、万一の対応策を策定し、必要となる時には迅速に実行します。
社長のサポート
社長のスケジュールの把握や会議への同席、業務のサポートをし、社長が社長として取り組むべきことに集中できる環境を整えます。
簡潔に言えば、調整役は組織全体の効率を高め、経営陣の決定や方針を実現するために、情報の管理、プロジェクトのコーディネート、危機管理など様々な場面でサポートを行うポジションです。
まとめ
調整という仕事は、クリエイティブでもありませんし、成果も具体的に見えにくいという側面もありますから、達成感のない仕事に感じられるかもしれません。
とはいえ、調整役は誰でもできる仕事でもありません。社長の意志、会社の状況、現場の事情、各社員の価値観など会社全体を俯瞰していないと務まらないからです。
そして、思うようにならないことを簡単に諦めずに向き合い続ける忍耐力、会社の将来を見据えた先見性、多くの人と関わるコミュニケーション能力、
あるべき姿に近づけるための問題解決能力と多くの能力が試されるポジションであり、社長にとっても、現場の社員にとっても頼りがいのある存在であり、実行力が高い組織作りのためのキーパーソンです。
ナンバー2を育てるのであれば、この調整役の機能は必ず身につけさせたいことのひとつになります。
参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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