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狐と狸の化かし合い

やはり狙われる新人行政書士

そもそも行政書士業務なのか?

今日もこのnoteを開いていただいてありがとうございます。
私が以前から「これ、行政書士業務なのか?」と思っていることがあります。
交通事故の際の業務なのですが…。

行政書士業務としての交通事故業務とは?

行政書士が「交通事故専門」と名乗って行っている業務の内容について説明させて下さい。
交通事故の際に後遺症が残るような怪我を負ったとします。
結局、自賠責保険の会社が過失割合というのを算定するじゃないですか。
で、病院に行って後遺障害の等級っていうのをもらって、そこに過失割合というのが加味されて、それでいくら出るかって決まりますよね。

交通事故業務専門行政書士法人

某所に、交通事故専門行政書士を名乗っている行政書士があります。仮に「ひじき行政書士法人」略して「ひじき」としましょうか。
このひじきは、某所で出会った、それぞれに個人事務所を運営していた行政書士ふたりによって設立されました。
設立当初は、交通事故によって怪我をした人と一緒に事故の相手および自賠責保険の会社の担当者と話をし、いくらかでも多くの保険料を取ろうという業務を行っていたんだそうです。
ここまでこのnoteをご覧になって下さっているあなたには、これはもう言い訳のしようがない非弁行為=弁護士資格なしに弁護士業務を行う犯罪であるとおわかりになるんじゃないでしょうか。

ひじき行政書士法人、業務変更

ここでひじきは業務の方向性を変えます
加害者とそのセコンドである保険会社を直接相手にするのはまずい。
だから被害者と一緒に病院へ出向いて「この人は本当に苦しんでいるんです。何とかもうちょっと障害等級を上げてください」と、お願いするというか、懇願するというか、脅迫するというか…まあそんな業務をおはじめになられたんですよね。

繰り返すけど、これ行政書士業務か?

え~と、行政書士って文書を書くのが仕事だと、これは行政書士法にはっきり書いてありますよね?いくら行政書士が行政書士法を知らないとは言っても、これくらいは知らないとさすがに許されませんよ?
あれですか、保険会社に提出する書類を代書することに対する付随サービスってことですか?
それはちょっと無理がないかなあ。おにぎりぐらいのご飯の塊にマグロのドリップをちょっと塗りつけて「マグロのにぎり一丁!」って言ってるようにしか見えないんですが…。
行政書士の仕事は文書を書くこと。およびその文書に関する相談に乗ること。
文書に書かれるべき内容そのものを、行政書士が事実上決めちゃってるのはさすがにまずいんじゃないかなあ?

ちょっと話はそれますが

行政書士試験を受験しようとして、行政書士法が出ていないことに疑問を持ち、合格してから改めて行政書士法を知ろうという方は、まあ結構いらっしゃると思うんですよ。それが本来のあり方ですからね。
でも兼子 仁著『行政書士法コンメンタール』は読んじゃダメですよ。
これは、行政書士たちの「あんなこといいな♪ できたらいいな♪」を、御用学者に命じて「できますよ」と書かせた本です。
行政書士というのは「事実を先行させてしまってから、後になって法的根拠を要求する」というのを常套手段にしているんです。
この点については後日じっくりお話ししようと思っていますが、そもそも「行政書士」という名前だって、のちに「行政書士」と呼ばれることになる「一般代書人」たちが勝手に名乗り始めて、結局それが定着しちゃった呼び名です。
ご存じの方もいらっしゃるかも知れませんが、人間国宝だった噺家の桂米朝さんという人がいましたが、彼の師匠である四代目桂米團治は代書屋でした。本業が噺家ですがいつも忙しいほど高座があるような仕事ではないので、暇な時期には代書屋をやってたんだそうです。休もうと思ったらいつでも休めるちょうどいい仕事だったみたいです。
米朝さんはその思い出を時々語っていたんですが、どうも司法代書人と一般代書人の混同があるというか、あるいはわかっててやってたというのか…というところがあるようですね。
「当時は株を買えばなれた」と語っていたんですが、この制度は司法代書人の制度だったようなんです。
でも、その四代目桂米團治が創作した「代書」もしくは「代書屋」という落語で描かれている代書屋のやってることは一般代書人なんですよね。
事実はどうだったのか、もうわからないのかも知れませんが…。
まあ、ちょっと話が脱線しましたが、要は『行政書士法コンメンタール』は読んじゃダメですよって話です。
いまはインターネットがあれば法律の原文に当たれます。施行規則も見られるようになってます。原文に当たって、わからないところはググって下さい
あらかじめバイアスがかかってるようなものを1次資料扱いしちゃダメです

そもそも交通事故に絡む交渉とは

交通事故に関しては、いろんな人の利害が対立しますよね。
私は今年の夏頃、自動車どうしの接触事故を生で見ました。車の中の機械までが損傷するような事故ではなく、表面の鉄板だけが曲がる程度のものだったんですが、それでも音が大きいことには驚きました。
そうやって、いろいろな人の利害が対立するときに現れる人というのに心当たりがありませんか?
そう、反社の人なんですよ。
昔は「示談屋」といって、相手との交渉、保険会社との交渉、医者との交渉、全部やってました。そして、それで取れたお金からいくらか払ってもらっていたという状態だったんですよね。そっち方面の言葉で言う「シノギ」ってやつです
しかし、反社に対する締め付けがキツくなるにつれて、脱落する反社構成員が続出してました。たしか反社の人の数っていうのはいまも減り続けているんですよね。
というわけで反社の出番はなくなっていったわけですが、そうなると交渉代理が行えるのは弁護士だけってことになります。事故の数に対して、弁護士の数が圧倒的に足りません
そこで弁護士先生には最後の交渉だけおまかせできるように、下準備を整えるのに行政書士という人間が使われるようになったわけです。
弁護士の使いっ走りですね。
行政書士法のどこを読んでもそんな仕事書いてないように思うけどなあ。だから逆に言うと、無資格者でも弁護士の信頼を得ればこの仕事やってもいいと思いますよ。
自賠責の契約書の内容には「弁護士・行政書士オプション」と書かれている場合はあるそうですが。

そしてひじき行政書士法人のこと

まあ長くなりましたが、ひじき行政書士法人はこの仕事を大量に得ることによって大手事務所になることに成功したんですね。
それ自体は大変喜ばしいことだと思うんですが、問題はこの行政書士法人が「ひじき」というブランド名を売っていることなんですよ。
新人でまだ仕事がない行政書士法人にいくらか払わせて「交通事故ひじき行政書士熊本事務所」みたいな名前を名乗らせて、初期費用と売上のいくらかを払わせる。熊本っていうのはたまたま思いついただけでそんな事務所は実際にはないと思いますが。
まあ要するにフランチャイズっていうことですね。そう名乗っているわけではないのですが、誰がどう見てもフランチャイズでしょう。

自分の事務所名を他から持ってくることは?

実は行政書士の事務所名にはいくつかのルールがあります。その中に「行政書士という言葉を入れなければならない」というのがありますし、「自分と無関係の人間の名前を入れてはいけない」というのもあります。
しかし、自分と直接は関係がない、もっとはっきり言いますとお財布が別の行政書士法人が掲げているブランド名を使ってはいけないというルールはありません
だからこれ、ルール上は問題ないんですけどね…。

そこでフランチャイジーも頑張った

というわけで、日本各地に交通事故専門行政書士事務所ひじきが誕生したわけですね。
本体の行政書士法人ひじきが非常に立派なものですから、ひじきを名乗れば新人でも割と仕事は獲りやすいわけです。
というわけで、仕事が軌道に乗ったらひじきとの関係を解消するフランチャイジーも現れてきました。もう自分の仕事は自分で獲れるということなのでしょう。
でも、その個人事務所のURLにはバッチリ「hijiki」と入っていたりするわけですね。
よその法人のブランド名を名乗って良いのか悪いのか、その線引きすらまともにできていないのに、URLに他法人のブランド名としか思えないものが入っていて良いのか悪いのかなんて判断が出ているわけがありません
かくして交通事故業務が行政書士の仕事として妥当なのかどうか判断は出ていないまま、既成事実だけが積み重なっていくわけです。

これは補足ですが

行政書士開業に向けての準備について その5の「ヒヨコさんたちのその後」で書きました「独立した事務所を構えて何とか食べていけている」ヒヨコさんというのがこの交通事故業務をやっているヒヨコさんなんですね。
ただ、私はやっぱり交通事故業務は行政書士の仕事と言うには無理があると思うんだよなあ。まあ、彼に関しては独力で食べていけるようになるまでのし上がったのですから、いいとしましょうか。自己啓発セミナー先生への忠誠心が人一倍高かったヒヨコのひとりがこの人でして、もしかしたらご利益でしょうかね。いまでもホームページの経歴に「行政書士試験合格後は、新宿区の行政書士事務所(中略)にて修業をいたしました」なんて書いてますし。
ただ、双璧をなすぐらい忠誠心の高かったヒヨコさんは実績も何もないのに一等地の広々としたオフィスを借りてしまい、あっという間に廃業に追い込まれていたんですが。
いま、どうしているかなあ?

追伸

すみません、言おうと思っていた重要なことを抜かしていたのに気がつきました。
交通事故の当事者には、利益を求めていろんな人が群がります。元々反社の人たちにとって非常にいいシノギになっていたのは述べましたが、それ自体減ってるとは言えなくなったわけではありませんし、例えば接骨院の運営者が実態とはかけ離れた重傷ということにして保険を請求し、差額分をピンハネするなんてこともあります全くの民間人「交通事故対策マニュアル」的な書籍を何巻セットかで異常な高値で販売していて、接骨院や行政書士を煽っていたりもします。
交通事故というのは一大事ですから焦る気持ちはわかりますが、だからこそ本当に頼るべき人を見極めるときには冷静になって下さい
見る人から見たら、他人の交通事故は割のいいアルバイトです。

というわけで、今日はこの辺りにさせていただきます。
最後にやはり宣伝です。
私はココナラで行政書士に関する相談を承っております

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小説なんかも書いております

こちらもぜひよろしくお願いいたします。
今日もありがとうございました。

目次

行政書士ウォッチャー桂木晴一です

行政書士が何をする人か知っていますか?

行政書士開業に向けての準備について その1

行政書士開業に向けての準備について その2

行政書士開業に向けての準備について その4

行政書士開業に向けての準備について その5

行政書士開業に向けての準備について その6

行政書士開業に向けての準備について その7

資格学校は行政書士をどう考えている?

資格学校は行政書士をどう考えている? その2

資格学校は行政書士をどう考えている? その3

資格学校は行政書士をどう考えている? その4

資格学校は行政書士をどう考えている? その5

資格学校は行政書士をどう考えている? その6

資格学校は行政書士をどう考えている? その7

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