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短歌など

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短歌や詩です
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#一次創作

猶予のU

王さまのお墓に刻む文字のようレンジでパスタ作れる容器

あなたは意気地なしなんじゃなくて賢いの王冠柄のズボンとスカート

瞼って字の右側が顔っぽい 笑って話すきみにふれたい

寝ているか死んでいるかを確実に見分けるために寝息はあって

石付きを落とせば軽い半夏生きのこのようにそこに座れり

吹いたらば音が天まで届くだろう道枝くんのまっすぐな骨

心から同情したい アラームに眠り続ける優しい夫

過去に作った短歌①

市バスから転がり落ちて立ちつくす家出を決めたぬいぐるみたち

大阪が一望できる窓辺にて通天閣がかわいく光る

体からアクセサリーを逃がしてく処刑前夜の王女みたいに

菜の花はとりわけ名前のない花で 無欲だ いいや いいや 無欲だ

ブランコがまあるく揺れる元気かと何度も聞かれほほえんでいる

あの姿からかさおばけみたいだな電信柱の陰で笑った

大雪が降ってうまれた国もあるチーズケーキを等分に切る

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運命の息づかいが聞こえる

難しい道を辿ってきた
もっとやるべきことが 他にあったかもしれないけど
旗のような 電灯のような
高いところから
なにかに見下ろされている気がして

夢中になること
自分の存在を
だれかに知ってもらうために 声を出すこと

さみしさは心を滅ぼすだろう
でも もし心がなかったとしたら
梯子のない出口の前で
立ちつくすことを 選ぶだろう
見ていない景色のことは わからない

街の音が聞こえる
車がブレ

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