過去に作った短歌①
市バスから転がり落ちて立ちつくす家出を決めたぬいぐるみたち
大阪が一望できる窓辺にて通天閣がかわいく光る
体からアクセサリーを逃がしてく処刑前夜の王女みたいに
菜の花はとりわけ名前のない花で 無欲だ いいや いいや 無欲だ
ブランコがまあるく揺れる元気かと何度も聞かれほほえんでいる
あの姿からかさおばけみたいだな電信柱の陰で笑った
大雪が降ってうまれた国もあるチーズケーキを等分に切る
ここで番組の途中ですがカラオケ館からのお知らせですプロポーズなら外でやれ
美少女フィギュアが少女フィギュアになりました法律で今そうなりました
左からべっぴんさんと指さして指さし終えてぬぐった涙
(ネットプリント「特急白虎」より)
失恋を惜しむまもなく陽光にある日砕ける洗濯バサミ
透明な雨傘の下さざんかのなづきに触れて雪をほどきぬ
長距離ドライバーは不幸だ この先もずっと 長距離ドライバーは不幸だ
全人類滅亡の日にスカパーを揺りかごにして昼寝する猫
食べかけの6Pチーズを猫にやる ここが地球の特等席だよ
野良たちも植物図鑑にあこがれてタウンページにたんぽぽ眠る
にごってく。喜ばせたくてイルカショー始めた人の美しい目が
一枚の手紙をさがす旅に出るというあなたから花を預かる
陸だった 波打ち際に残された一行だけの海の日記は
(歌会より)
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