【読書感想文】『太陽のパスタ、豆のスープ』─ドリフターズ・リストを考える
宮下奈都さんの『太陽のパスタ、豆のスープ』を読みました。宮下さんといえば、本屋大賞を受賞した『羊と鋼の森』。新人調律師の外村くんが、真摯に「音」と向き合い成長していく姿を描いています。こちらもおすすめです!
『太陽のパスタ、豆のスープ』は昨年のナツイチで、カバーイラストに惹かれて購入しました。スパゲッティとスープのイラストが可愛らしくて、美味しそうで。一見グルメ本とも思われそうなタイトルですが、今に生きるOLの小説です。
明日羽は婚約者に振られたことをきっかけに、自分を見つめ直します。その感情の動きがとってもリアル。
ロッカさんの提案でドリフターズ・リストを作るも、本当にやりたいことなのか、これで正しいのか、明日羽は試行錯誤します。
ドリフターズ・リストは不可能リストだったんじゃないか。明日羽は悩みます。それでも仕事に行き、家事をして、毎日を生きます。そうしているうちに幼馴染や同僚、家族との関係を振り返り、その大切さに目を向けられるようになります。
少しずつ軌道に乗ってきたころ、明日羽は気付きます。
ドリフターズ・リストについて、ロッカさんは『一切れのパン』の寓話を持ち出します。戦時下、逃げようとする捕虜に、僧侶がハンカチに包んだパンを渡しました。「できるだけ長く持っていなさい」と言って。捕虜は誘惑に駆られながらも最後までパンを食べず、長い逃亡を終え家族の元に帰ります。そこでハンカチを開けると、出てきたのは木片だった、という話です。
ドリフターズ・リストは、自分にとっての「こうすれば必ずうまくいく、正解の目標」を定めるものではありません。不可能に思えても目標を持っていること、信じようとすることが大事なのだなぁ、と思います。リストを持っていることで、無意識に「なりたい自分になろうとする」行動を取るのかもしれません。
そこで私もドリフターズ・リストを作ってみました。本当はチラシの裏に手書きで書かなきゃいけないみたい。まあいいや!
・コンスタントに運動する
・資格試験の勉強をする
・料理のレパートリーを増やす
・本を読んで心に触れる文章を見つける
・たくさん文章を書く
・会議で発言できるようになる
・人前で話す恐怖心を克服する
・自分のことを好きになる
うーん、どれもできそうでできないことばかり。うまくいかないこともあるかも。でも持っていることが大事。
私もポケットに入れている気分で、やってみようと思います。
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