応募者全員サービスに応募したら激怒された話
小6のころ、我が家で漫画が解禁になり、それと同時に祖母に毎月買ってもらっていた雑誌を『小学6年生』から、『なかよし』に変えてもらった。
これをすんなり許可してくれたことは、今考えても謎なのだが、大人になってから母親に聞いたところ、特に漫画もアニメも禁止などした覚えはないと言われた。
そんなバカな!TVが5時〜6時だったのは絶対だったし、アニメが見たくて見たくて仕方なかった私と兄が自発的にアニメを見ないで我慢しているなんてありえない。母は6時以降も子供達は普通にアニメを見ていると思っていたと言っているが(台所と居間が離れていたため、母は子供達の動きがみえていなかった)記憶が食い違っている。まぁ、母は言語記憶があまり良くないため、昔から少し前と言っていることが変わっていることは子供の頃からよくあった。あと、私の記憶は兄と照会済みなので間違ってはいない。
話がそれた。何で変えてもらえたのかはわからないが、毎月祖母に『なかよし』を買ってもらえることとなった。
当時CLAMPさんの『レイアース』という作品が連載されていて、私はこれにハマった。仲の良かった友達もハマって、二人でよく漫画について離したり、絵を描いたりしていた。そんな時、ある号で応募者全員サービスのお知らせが出た。ものはペンケースだったと思う。大好きなレイアースの絵柄のものもあって、欲しかったので祖母に相談したところ、封筒やら切手やらを用意してくれて、無事に応募することができた。
そして、しばらくしたある日の朝、起きて一階の居間に降りていくと、机の上に何か郵便物が置いてあり、母が激怒して待ってた。
そして私に対してこれは何だと問い詰めてきた。
応募者全員サービスのペンケースが届いたのだ。
祖母の家と私の実家は同じ敷地内に別棟としてそれぞれ立っているが、私名義でだしたのだから、届くのはもちろん実家である。
私はびっくりしながらも、雑誌の応募者全員サービスで祖母に頼んで送ってもらったと言ったところ、母に激怒された。
なぜダメなのかという説明はなかった。ただ、何でこんなことをするのと怒られ、ダメなものはダメの一点張りだったと思う。そしてもう2度とやらないことを約束させられた。
けれど、私は性懲りも無く、もう一度同じことを繰り返す。
次は腕時計だった。やっぱりレイアースの柄のものがあり、子供の頃、異常にに腕時計が欲しい子だった私はどうしてもそれが欲しくて、怒られることを承知の上でまた祖母にお願いし、切手などをもらい応募した。そして同じように、しばらくすると、朝、今の机の上に届いた応募者全員サービスの腕時計が置いてあり、超絶怒られた。覚悟はしていたけれど、本当にめちゃくちゃ怒られた。
でも一体何が悪いのかはよくわからないままだった。
学校に行けば、友達達は普通に応募者全員サービスのペンケースなどを学校用の筆箱として使っていたりした。
なぜ?いつも腑に落ちないけれど、やっぱり腑に落ちないのだ。
なぜ、皆が怒られないことで私はこんなにも叱られるのだろうか。
応募者全員サービスがダメだった理由
大人になった視点で考えると、まず、切手をもらっていることが、間接的に祖母に何かを買ってもらっているような状態になっていたということがあったのだとは思う。応募者全員サービスは代金の代わりとして、数百円分の切手を同封して送る。祖母に何か買ってもらうことは禁止されてたし、そこがひっかかかった可能性はある。ただ、当時の私は切手=お金という認識がまるでなかった。世間知らずだったとも言えるけれど、切手というものが何なのかよくわかっていなかった。なので当時はそんなことに思い当たってはいないし、親が説教の際にそう言った説明を行ったわけではない。
ただ、母の怒りの一番根幹の理由は、母と祖母との確執だと思う。
母は祖母に生活に侵入をされることを、極度に恐れていて、その恐怖心から私の行動を止めようとして、私に対する理屈のない恐怖による行動の抑止につながったのだと思う。
ただし、当時の子供の目線からみたら、母と祖母何も問題はなく、むしろ仲が良いくらいの感じに見えていた。
母が祖母に対してかなり苦手意識を持っていて、恐怖心に近い気持ちを抱いていたのを知ったのは大人になってからである。その時はかなり驚いた。
母は本当に人から何かをもらうとか、あげる、頼る、頼られるということを嫌う人で、自分のことは全て自分でやる、全て何もかも自分でやるのがかっこいい的な思想な人だった。(けどその割に人のことを勝手にやってしまうところもあった。)その信念の裏には、人付き合いや特にめんどくさい人と付き合うことが嫌で仕方ないという気持ちがあったと思う。
母は自分が苦手と感じる人と何らかにつながりができてしまうことを極度に嫌がった。人間関係の立ち回りが上手くないからということもあると思うけれど、それのおかげで意味なく怒られることもままあった。
そして、母が関わり合いを持ちたくない人の筆が、実は祖母だったのだ。
祖母と母との確執は話を聞いたところとても根深いもので、母が人付き合いができないことや、祖母の依存気質と、元々の生活のベースが違うなど、いろいろ事情が絡み合っていた。
それについては次の記事で書こうと思う。
とりあえず、応募者全員サービスに応募したのはその2回で、どちらも超怒られて、腑に落ちない気持ちが残った感じだった。
でも、応募して後悔はない。
あれをもらって嬉しいと思えるのは、あの時期だけだ。
子供の頃にできなかったことを大人になって取り戻すこともできるが、
大人になってやったところで、その当時の感情を味わえないことも多い。
当時の私に、頑張ってよくやったと言ってあげたい気分である。