ぐん税ニュースレター vol.40 page05 -マーケティングコンシェルジュ-
ターゲティング
今回は前回のSTP分析の続きです。STPの「S」であるセグメンテーションまで説明したので今回は「T」のターゲティングについて考えていきましょう。
簡単に言ってしまえばセグメントで「分けた」なかから標的を「絞る」ことがターゲティングです。ターゲティングは標的市場とも言います。重要なのはどのセグメントを選択し、そのセグメントに対してどうアプローチしていくのか、という点です。
マーケティングの階層構造
機能要素別戦略
これを説明するためにまずはマーケティングの階層について解説します。
マーケティングは下層から機能要素別戦略、マネジメント戦略、戦略的マーケティングと階層が分かれています。まずは機能要素別戦略ですが、これはマーケティングの4Pとして有名です。4Pは製品(Product)、価格(Price)、チャネル(Place)、プロモーション(Promotion)です。まずはこれらの機能要素別にマーケティング戦略を組み立てることからスタートします。(ちなみ前回登場したコトラーはこれに人(People)、プロセス(Processes)、物的証拠(Physical evidence)を加えた7Pを提唱しています。)
マネジメント戦略
次の階層のマネジメント戦略ではこれらの機能要素別のマーケティングを組み合わせて統合します。機能要素別マーケティングを統合したものをマーケティング・ミックスと言います。サービスや商品によって4Pが異なりますので最適な組み合わせを考える必要があります。例えば高級志向のものとリーズナブルなものでは同じ戦略は当てはまりませんので、4Pを組み合わせて統一性のあるマーケティング・ミックスを策定します。
戦略的マーケティング
戦略的マーケティングはもっと大きな概念になるのですが、外部環境を分析して企業の方向性や経営資源の配分など決定する企業戦略に近い位置づけになります。
ターゲティングの設定
ここで先に記載した「セグメントに対してどうアプローチしていくのか」ということですが、これはセグメントを設定・評価した後にどのマーケティング・ミックスを投入していくのか、ということです。これには3つのアプローチがあります。
無差別型マーケティング
いわゆるマス・マーケティングと言われるものですが、これはセグメントを考慮せず市場全体に一つのマーケティング・ミックスを投入するものです。市場(セグメント)ごとにマーケティング・ミックスを設定する必要がないのでコストを抑えられるメリットはあるものの、近年多様化する消費者ニーズには対応できていないという面もあります。
差別型マーケティング
差別化マーケティングはセグメント分析で設定した各セグメントに対して、それぞれ別々のマーケティング・ミックスを投入する方法です。フルライン戦略がこれにあたります。フルライン戦略と言えばトヨタ自動車が思い付きますね。高級路線のクラウン、家庭的なヤリス、スポーツカーのスープラではそれぞれ異なるマーケティング・ミックスを投入すべきなのは想像がつきます。ただしこれには相応のコストと企業体力が必要です。
集中型マーケティング
集中型マーケティングではどれか一つの市場(セグメント)に絞り込んでそこに企業のマーケティング・ミックスを投入する方法です。経営資源が限られている中小企業では複数のマーケティング・ミックスを投入するほどの体力がないためこの方法が取られることが多いです。経営資源を無駄なく投入できるため効率的ではありますが、リスクヘッジができないというデメリットもあります。
ここまで行ったうえで次にセグメントにおいて競合他社の存在も踏まえて自社の立ち位置を考える必要があります。これがSTP分析の「P」であるポジショニングです。次回は新年1月号の印刷版特別号を挟んだのち、2月号でポジショニングについて解説していければと思います。
マーケティング 原
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