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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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#地理学

「しょうゆ」と地質の関係とは?『「美食地質学」入門」より

引き続きマグマ学者、巽好幸著『「美食地質学」入門』より、醤油と地質の関係について。醤油は発酵食品ですが、発酵には酵母菌、乳酸菌、カビ(麹菌・クモノスカビ)を利用します。 今回紹介する醤油の場合、麹菌を使って大豆や小麦を「麹」にし、麹に塩水を加えて「諸味」とし、乳酸菌や酵母によって発酵させて作ります。 ⒈醤油の起源は「和歌山県」醤油の起源として最も有力な説が禅僧・覚心の偶然。覚心は中国留学から帰国後、1227年今の和歌山県日高郡由良町にて興国寺を開山。 そして地域住民に中

地理はこうやって役に立てよう『現代世界は地理から学べ』読了

<概要>地理とは「歴史の最新のページ」と定義した上で、地理学的な視点で、国際情勢や災害問題、経済問題などを紹介した、代々木ゼミナール地理講師の著作。 <コメント>地理好きの私としては「地理なんか勉強したってなんの役にも立たない」なんて言われてしまうと、非常に悲しくなります。 私自身は地理を勉強すると、自分の世界が広がる感じがして心地よいし、聖地巡礼みたいに地理で勉強したその地域を旅行して実体験すると、とても感動して楽しくなるので、国内外問わず頻繁に出かけてます(以下はその

『自然のしくみがわかる地理学』水野一晴著 読了

<概要>自然地理学全般の知識を世界中・日本中を調査してきた著者が親しみやすいエピソードとともに網羅的に紹介した著作。 <コメント>地理学には大雑把に分けて、自然地理学と人文地理学があります。本書は自然地理学に関する網羅的な初心者向け著作なので「これ一つあれば、おおよその概略がわかる」という便利本。他にも書店でチェックしたところ以下著作もわかりやすそうです。 本書の場合、著者の実体験に基づくエピソードも織り交ぜながら解説してくれるので、とてもわかりやすい。いつものように以下

地図でしかわからない危険な土地

早稲田大学のオープンカレッジで今尾恵介先生の講義受講終了。 地図に惹かれて今尾先生の講義を受講したのですが、この講義は本当に面白くてためになりました。 「地図を深読みすると、これまでわからなかったことが実はよくわかる」 という講義で、地図の歴史に始まり、地図の見方を経由して、地形学から展開し、集落の特徴や境界線からみた行政区分やその土地の特徴などを勉強。 特に面白かったのは最終回の「防災の観点から地図を読む」の回。結論的には安全な土地、危険な土地は以下の通り。 ■川

「地域学入門」山下祐介著 書評

<概要>西洋近代化によって希薄になった「地域」の生活環境や社会、歴史や文化などをよりよく知ることで、私たち自身を知り、私たち自身を高めることができると提言した書。 <コメント>「その土地の地理や歴史が大きく人間の価値観に影響しているのでは」という問題意識から風土に関する著作を読み進めていますが、本書は社会学としての風土論=地域学についての入門書。 わたし的には風土論を展開するため、今年5月に半月ほど奈良県に滞在し、奈良県を対象に勉強して感じたのは、歴史的にはとても意味があ

「ことばの地理学」大西拓一郎著 書評

<概要> 方言で使われる言葉を日本地図にプロットしたら、どんな傾向が方言にはあるのか?あるとしたら、その要因は何か?を探った方言学に関する書籍 <コメント> 既に甲府の方言や 方言にまつわる社会制度の関して 紹介しましたが、改めてここで書評。全般的に了解したのは、日本地図への方言のプロットは進んでいるものの、その法則性と要因に関する体系的な仮説は未だ生まれていないということ。 上記で紹介した内容含め、 ■静岡県で使用される「ズラ」は、この地方に伝わる古い東国の方言が

日本列島百万年史 「関東編」

◼️関東平野はなぜ日本最大の平野なのか 徳川家康が秀吉の命令で江戸に来るまで、関東平野、特に江戸の辺りは大湿地帯で洪水も多く、人の住めるような環境ではありませんでした。街道も、相模国(神奈川県)から東京湾を渡って上総に入るルートが昔のルートで、だから今の千葉県も上総→下総という順に日本の中心だった関西からみれば、このような順番になっていたのです。 ところが家康がこの広大な大湿地帯の開拓に成功して以降、日本の第二の中心となり、明治時代以降は、日本の首都となって、今は日本の人口

「日本列島100万年史」 北海道編

◼️かつて石狩川は(日本海ではなく)太平洋に流れ込んでいた 北海道の地形史において興味深かったのは石狩川。 【上流域】 上流域においては大雪山を源流としていますが、神居古潭が流れの行く手を阻んだ結果、旭川(上川盆地)に土砂が堆積し、神居古潭の先には扇状地が発生しませんでした。 【中流域】 神居古潭を過ぎてからは、標高差の乏しい石狩平野を、ゆったりとした流れとなって蛇行。その後の河川改修によって、川の蛇行は人工的に抑えられ、石狩平野に多くの三日月湖を生む結果となりましたが、

「日本列島100万年史」書評ー列島編

<概要> 最初にプレートテクトニクスから入って全体の説明をした後、日本列島を「北海道」「東北」「関東」「近畿」「中国・ 四国」「九州」の5つのエリアに分けて、エリアごとの地球科学的な地形の成立にまつわるエピソードを紹介したブルーバックスシリーズ。 <コメント> 地形学は地理学なのか地球科学なのか微妙なところですが、地理学自体はサイエンスとカルチャーをクロスオーバーした最も興味深い学問の一つであることには間違いありません。 まず地形そして文化、という順番で人間社会を俯瞰す

地理学勉強にスタディサプリ

今年は、地理を勉強すべく、先生向け教本みたいなものにチャレンジしていますが、 オープンカレッジは休校中なので、自習ばかりでもマンネリになってしまうと思い、オンライン講義的なものを探していて主に受験生向けではあるものの、スタディサプリの無料体験をYouTubeで視聴してみました。 高校地理は、鈴木達人先生の講義ですが、これが関西弁バリバリで関東人にとってはちょっと慣れるまで時間かかるものの、素晴らしく面白い授業。早速入会してしまいました(年間2万円強で見放題とオープンカレッ