アドラーは言うけれど・・・
アルフレット・アドラー、「人生に革命が起きる100の言葉」(小倉広著)を読むと、いくつか気づかされることがある。「自己啓発の父」と言われるアドラー。今やコンサルから一般人までが綴る「自己啓発本」には「成功するためのたったこれだけの習慣」といった類が多い。
いとも簡単に見えることを皆が実践できれば成功者は世界中に溢れるはずだ。結局、ほとんど誰にも成し得ない「習慣」が書いてあるのだ、というのは読書嫌いでひねくれ者の考えだろうか。
人生が困難なのではない。あなたが人生を困難にしているのだ。人生は極めてシンプルである。(→現在の人生を決めているのは運命や過去のトラウマではなく自分自身の考え)
そうかもしれない。
現在の人生を決めているのは運命や過去のトラウマではなく、自分自身の考えだという。そう思えれば人生は極めてシンプルだ。
「あなたが人生を困難にしているのだ」。
悪いのは本当に自分なのだろうか。運命、過去のトラウマなどに振り回されることなく、生きていけるだろうか。
自分の意思とは関係なくこの世に生まれ、たった一人で死んでいくというシンプルな人生。
あれこれ考え、思い悩むのが普通だと思う。気持ちだけではない。人間は、一枚皮のその中に60兆個の細胞が働き、肉体を支える。仏教では人は四百四病を生まれながらに抱えているという。体の中のちょっとしたバランスの崩れで内在していた様々な病がその芽を出す。そしてそれこそ運が悪ければ平均寿命よりも早く死を迎える。生まれた瞬間から死に向かって歩き続けることを止めないのはなぜだろう。何よりも確実なゴールが見えているのに。
ラグビーでボールを受け取ったら、何度タックルされてももう一度立ち上がったり、ずるずる這いずって少しでも前に必死に進んだりする。きっと生きていくには「困ったこと」にぶち当たるようにできているのだ。もしそれらが無いとすると、一直線にゴール(=死)にたどり着いてしまう。
そう思えば、「あなたが人生を困難にしているのだ」と言われても、「いやいや、これもまたいいもんですよ」などと余裕綽々、泰然自若でいられるし、むしろ困難にwelcomeと言えるかもしれない。
にんまりと笑って受け止めてみたい。
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