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【詩】撫
諭されるみたいに
そっと雲を撫でた
ただ終わる午後
眠る事実が
明るみに出たなら
それは何になるのだろうか
誰もかもが気付くなら
此処にいてはダメな気がした
今はもうそんなに信じれないけど
忘れていた筈の風景が見える
あまり昔でも先でもない
近いうちに合わさり分かること
向こう岸から感じる視線
消えない影の舟に波は揺れ
いつまでも大きな空洞を潜っては
尚良いところだと思い込む
磨かなければ失われて行く感情さえも
単純な構造には馴れなかった
どこからどこまでが本当なのだろうか
幼き頭を触れたあの手の温もりも
空に数える程の光り輝く星々も
知り合った人々も煌めいた街並も
わたしという存在すらも
あの雲は知っている様子だった