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12の基本スキル「聞く」:傾聴の基本

本ブログ記事は『ビジネススキル 完全攻略 -基本編-』からの抜粋になります。全部まとめて読みたい方は、是非、電子書籍をご購入ください。


「傾聴スキル」を身に着ける

「聞く」スキルでは、傾聴スキルに関して学んでいきたいと思います。

傾聴スキルとは、相手が話す内容に注意深く耳を傾け、理解し、適切に反応するコミュニケーション能力のことを言います。

ただ相手の話を聞くだけではなく、言葉の意味、感じていること、言いたいことを深く理解して、その人の気持ちに共感することが大事です。

傾聴スキルは、コミュニケーションにおいて非常に重要で、良好な人間関係を築くための基礎となるものです。

たとえば、相手の話を聞くことを職業としている、カウンセリングやコーチング業務を行う人たちは、傾聴スキルを積極的に活用しています。
傾聴スキルで求められる細かいスキルをいくつかご紹介したいと思います。

アクティブリスニング (Active Listening/積極的傾聴)

アクティブリスニングは、話をしている相手に対して注意を向け集中して話を聞くことです。

積極的に話を聞いていることを示すために、非言語的(ノンバーバル)なサインを使います。

たとえば、「ボディランゲージ(身振り手振り)」「アイコンタクト」「うなずき」「あいづち」などで、聞いていることを示します。また、反応を表すために、「なるほど」「確かに」といった言葉を使って、話を聞いていることを示します。

アクティブリスニングをトレーニングする場合は、1on1で2人が向き合って座り、一人が相手の言葉に集中して話を聞き反応する練習を行います。

相手の話を聞き、重要なポイントはメモを取るなどして話を積極的に聞いていることを示します。また、会話の中で、「なるほど」「確かに」「凄いですね」といった適切な言葉を使ってあいづちを打ち、話を聞いていることを示す練習をします。

オープンクエスチョン (Open-ended Questions)

オープンクエスチョンとは、相手に広く考えたり話したりする機会を与える質問のスタイルです。

これは、単純な「はい」や「いいえ」で答えることができない質問で、自由に話しやすい環境を相手に作ってあげることを目的とした質問です。
オープンクエスチョンに対して、「はい」や「いいえ」で答える質問を「クローズドクエスチョン」と言いますが、こちらは、「質問する」スキルで詳しく解説したいと思います。

オープンクエスチョンは、相手の意見、感情、経験、見解を引き出すのに有効で、より深い理解や、対話を促します。

特に会話の導入で、話を広げていく時に、オープンクエスチョンを活用すると効果的です。たとえば、「どのように感じましたか?」「その経験から何を学びましたか?」などがオープンクエスチョンにあたります。

オープンクエスチョンのトレーニングでは、様々なシナリオに基づいてオープンクエスチョンの質問を作成しておき、ロールプレイング中にオープンクエスチョンを使って情報を引き出す練習を行います。

エンパシー(共感する力)
エンパシーは、相手の感情や視点を理解し、それに共感する能力のことです。このスキルでは、まず相手が表現している感情を正確に理解することが大切です。これには、その感情がどのような状況や経験から生じているのかを考えることも含まれます。

また、相手の感情に対して共感を示すことも重要です。これは、相手と同じように自分も感じて、「それは大変でしたね」「辛かったですね」といった言葉を使って共感していることを表現します。

共感を示す際には、非言語的(ノンバーバル)な表現も効果的です。相手の感情に合わせたボディランゲージ(身振り手振り)や表情、声のトーンを使うことで、話に注意を払っていることを示すことができます。

さらに、相手の視点を尊重することもエンパシーにはなくてはならないものです。自分の意見や価値観を押し付けることなく、相手の経験や感じ方が自分と異なることを受け入れる必要があります。
また、相手の気持ちや置かれている状況に合わせた対応をすることで、必要としている助けや反応を示すことができます。

沈黙の利用

相手が考えをまとめるために、適切なタイミングで沈黙を保つことも重要です。会話中に誰も話をしない沈黙の時間帯ができるのは少し焦ってしまいますが、話す内容を相手が考えている時は、じっと黙って待ってあげることも重要です。

社内の1on1のミーティングなどで、会話中に意識的に沈黙の時間帯を作り、その効果がどうだったかを確認する練習を定期的に行ってみてください。
慣れると、沈黙することが怖くなくなります。

ペーシング(Pacing)

ペーシングとは、コミュニケーションにおいて、相手の話していることや感じていること、また、その話すペースに自分を合わせるテクニックです。
このスキルを用いることで、相手との共感や理解を深め、信頼関係を築くことができます。ペーシングでは、以下のような要素が重要です:

言葉の使用:
相手が使っている言葉や表現を注意深く聞き、それらを使用することで相手との共通言語を作ります。

話の速度とトーン:
相手が話している速度やトーンに自分の話し方を合わせます。こうすることで、相手はより快適に会話を進めることができます。

ボディランゲージ:
相手の姿勢やジェスチャーに注目し、それをまねすることで、非言語的(ノンバーバル)な共感を示します。

たとえば、相手が肘をついたら、同じように肘をついたり、頭をいじったら、同じように頭をいじるなどの同調動作を行います。これは「ミラーリング」と言い、相手とのリズムや調和を生み出し、相手に安心感を与えることにつながります。

感情の反映:
相手が表現している感情に気づき、それに対する自分の反応を調整します。

ペーシングのトレーニングでは、相手のボディランゲージや話し方をまねするミラーリングの練習をしたり、相手の速度や感情に合わせて自分を適応する練習を行います。

バックトラッキング (Backtracking)

バックトラッキングは、相手の話した内容を自分の言葉で要約し、それを相手に確認することを言います。日本語では、「オウム返し」とも言います。

バックトラッキングの主な目的:
バックトラッキングの目的は、相手の話したことを正確に理解しているかを確認することです。誤解があれば、それを早期に解消します。また、相手に自分がしっかりと話を聞いていることを示し、その話を重視していることを伝えます。

バックトラッキングの方法:
相手の話の主要なポイントを簡潔にまとめたり、相手の言葉を自分の言葉で言い換えてみたりします。また、「つまり、あなたは...と言っているのですね?」のように確認のための質問を行います。

バックトラッキングの名手が、明石家さんまさんです。
さんまさんが司会をしている番組などでは、ゲストが話をすると、まず、ゲストの話を軽く要約して、話を引き出していき、オープンクエスチョンなどを駆使して話を広げていきます。
テレビの司会者(MC)がどのような会話のテクニックを使っているか、チェックしてみることをお勧めします。

■ バックトラッキングの事例:職場での会議
部下:「最近、プロジェクトの進行に追われて、正直かなりストレスを感じています。特にリソースが限られている中での期限の厳しさが辛いですね。」
上司(バックトラッキングを使う):「つまり、現在のプロジェクトの進行状況とリソースの限りがある中での期限の厳しさが、あなたにかなりのストレスを与えているということですね。」

■ バックトラッキングの会話事例:友人同士の会話
友人A:「最近、引っ越しをしたんだけど、新しい街になかなか馴染めなくて、孤独を感じているんだ。仕事は充実しているけど、友達がいないのが寂しいよ。」
友人B(バックトラッキングを使う):「引っ越したばかりで、新しい街にまだ馴染めていないし、仕事はうまくいっているけれど、友達がいないことが寂しいと感じているんだね。」

バックトラッキングの効果:
バックトラッキングの効果として、相手は、自分の話を聞いてもらっていると感じ、信頼感を深めることができます。また、誤解が少なくなり、より効果的なコミュニケーションができるようになります。さらに、相手は自分の話をもう一度考える機会につながります。

バックトラッキングのトレーニングでは、相手の話を短く要約したり自分の言葉で言い換えたりして、相手に確認するという練習を繰り返していくと効果的です。

パラフレージング(Paraphrasing)

パラフレージングは、相手が言ったことを自分の言葉で言い直すことを指します。バックトラッキングと似ていますが、バックトラッキングが相手の言葉を使って表現するに対して、パラフレージングは、相手の言ったことを自分の言葉で言い換えるところが違います。

パラフレージングの目的:
相手の話を自分の言葉で表現することで、正確に理解しているかを確認します。自分の言葉で表現することで、相手に対する関心と理解を示します。また、相手の話を自分なりに解釈し、誤解があれば訂正していきます。

パラフレージングの方法:
パラフレージングの方法は、「要約」と「言い換え」です。要約では、相手の話の主要なポイントを、より簡潔に表現します。言い換えでは、相手の使った表現を自分の言葉に変えて、同じ意味の言葉で表現します。相手の話から感じられる感情を自分の言葉で表現できると効果的です。

■ パラフレージングの会話事例:コーチングセッション
クライアント:「この数か月で、自分の時間管理を改善しました。毎朝ジョギングを始めたんです。これがものすごく良い気分展開になって、1日を活動的に過ごせています!」
コーチ(パラフレージングを使う):「時間管理を見直して、毎朝ジョギングをするようになったんですね。それが素晴らしい気分転換となり、もっと活発に1日を過ごせるようになったということですね。」

■ パラフレージングの会話事例:教師と生徒の会話
生徒:「最近、数学の勉強に本当に集中していて、前よりも理解できるようになってきたんです。先週のテストでは、以前よりも良い点数が取れました!」
教師(パラフレージングを使う):「数学に集中して取り組んで、理解度が上がってきたんだね。それで、最近のテストの成績も向上したというわけだね。素晴らしい進歩だね。」

パラフレージングの効果:
相手は自分の言葉を聞くことで、新たな視点を得ることができ、相手の理解が深まります。また、より正確な理解に基づいた効果的なコミュニケーションができるようになったり、相手は自分が理解されていると感じ、信頼感を深めることができます。

パラフレージングは、相手の言っていることを自分の言葉に置き換える作業になるため、相手が話したことをメモしておいて、それを自分の言葉に置き換えるトレーニングをすると効果的です。

サマライジング(Summarizing)

サマライジングは、セッション(1on1やミーティングなど)の終わりに、話された内容の主要なポイントをまとめることです。
「仕切る」のスキルで出てくるミーティングのラップアップ(まとめのプロセス)で活用できるメソッドになります。

サマライジングの目的:
セッション中に話された重要なポイントやテーマを強調したり、参加者間での共通の理解を確認し、誤解があればそれを解消します。また、セッションの成果を踏まえ、次に何をすべきかの方向性を明らかにします。

サマライジングの方法:
セッションで取り上げられた主要な論点や意見を簡潔にまとめ、特に重要なポイントや合意されたことについて改めて触れます。また、セッション中に参加者から提供されたフィードバックや意見を反映させます。

サマライジングの効果:
サマライジングの効果は、セッションの目的や成果に対する共通の理解が深まり、セッションを効果的に終えることができます。また、次のステップや行動計画に対する動機付けが強化されます。

サマライジングは、会議やセッションの成果をはっきりさせ、参加者が得た気づきや学びを整理するのにとても役立つ方法です。これによって、参加者がセッションから持ち帰る重要なポイントを明確にし、それを具体的な行動へとつなげることができます。

サマライジングのトレーニングは、社内ミーティングなどでファシリテーター(会議運営者)の役割を担い、会議のラップアップ(まとめのプロセス)を自分ですると、サマライジングの能力を自然と身に着けていくことができます。


 さまざまな傾聴スキルを見てきました。無意識に使っているテクニックもあれば、言われてみて、初めて意識したテクニックもあったかと思います。こちら側が話を聞くということは、相手が話をしやすい環境をどう作ってあげられるかです。ただ、聞いているだけでは、話を引き出すことはできません。傾聴スキルを使いこなして、相手が自分に話をしたくなる状況を作りだしてみてください

次は、「質問する」スキルをマスターしていきましょう!






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