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FANCLの子会社化を目指すKIRIN、ヘルスケア市場の成長めざましいアジア太平洋地域で独自の地位を確立できるか?|週刊小売業界ニュース|2024/6/17週

2024年6月17日~6月24日の日本の最新ニュースから、
最近の小売り業界について紐解いていきましょう。

今週のおさらいに、ぜひどうぞ!

キリン/ファンケル完全子会社化でヘルスサイエンス企業実現 | 流通ニュース

<記事の要約>
キリンホールディングスは、ファンケルを完全子会社化し、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンス・カンパニーを目指すための公開買い付けを実施すると発表。ファンケルの強みである国内のリアル店舗とECチャネルを活用し、健康課題解決に貢献する。またBlackmoresとのシナジー効果を生かし、海外展開も加速させる。これによりグループ全体の成長を図り、社会的価値の創出を目指す。


KIRINの祖業であるビール事業が
国内で徐々に縮小すると予期されるなか、

第二の事業の柱の創出に向けた
取り組みを加速させています。


2023年の国内の酒類飲料の販売数は約3.4億本と、
最盛期1994年の約5.7億本から4割も縮小しており、
そしてこの減少傾向は今後も継続的と見られています。

ビール・発泡酒の酒税に関する要望書
(ビール酒造組合・発泡酒の税制を考える会)

23年度のKIRINの事業利益2014億円のうち、
酒類による利益が約1200億円と過半数を占め、
市場規模の縮小と心中することになりかねません。


KIRINでは2010年に開発したプラズマ乳酸菌をはじめ
同社のバイオテクノロジー技術を活用したR&Dを核に、
健康関連商品の開発・販売に注力してきました。

キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」入り飲料、販売好調!
1~10月の販売数量は、前年比約2割増!


2019年には社内でヘルスサイエンス領域を立ち上げ後、
昨年には販売力に優れる豪企業Blackmoresを買収しました。

Blackmoresはアジア太平洋地域各国の食品規制対応に詳しく、
また豪州やタイ、中国など13の国と地域に販路を持っており

同地域の健康関連食品の市場においてプレゼンスを拡大する構えです。


実際、世界的に健康関連食品市場は伸びている傾向にありますが、
アジア太平洋地域の伸びはCAGR8%強と予想されており、
日本のCAGR1~2%と比較すると、市場の魅力度が分かります。


今回のFANCL子会社化を通じて、
同社が得意な化粧品ラインナップを得ることで、

KIRINの展開している健康食品とかけあわせた
体の内側・外側どちらものケアに手が届く企業として、
アジア太平洋地域でプレゼンス拡大を狙う戦略です。


しかしこの戦略が実現し、営業利益に奏功するのか、
両者が統合した後の運用に疑問を呈する識者もいます。

キリンHDの磯崎会長CEO(当時社長)は2022年、東洋経済のインタビューに対し、「100%子会社としたとき、ファンケルのよさを残せるのかはわからない。ファンケルは機動力があり意思決定が速い企業。一方のキリンは、国に酒税を納めていることもあって非常に慎重な企業で、カルチャーに違いがある」と語っていた。
買収を発表した翌営業日の17日、キリンHDの株価は14日終値から2.87%安の2068円と下落した。マーケットは買収に懐疑的な見方をしているようだ。
キリンHDは買収を経てファンケルとのシナジーをさらに強化し、具体的な成長戦略を示していくことが求められる

キリン、ファンケル買収に透ける「期待と不安」
(東洋経済オンライン)

TOBによる買収額は約2,100億円と見積もられ、
比較的大型の案件に分類できると言えます。

その分だけに、統合後の擦り合わせ(PMI)においては
外部要因に振り回されず着実な歩みが求められるでしょう。


<担当者からの一言>
先週から一番驚きと納得を持ったニュースがこちらでした。キリンにとって、サントリーウエルネスの健康食品業界における圧倒的地位を横目に見ていると、自社に取り込み、よりスピーディーな展開をする方を選んだのだろうか。競合他社と比較すると、化粧品も健康食ECも営業利益率がよく見えていることもあり、全体的な事業利益向上も目的に含まれているようにも思います。



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