何に着想を得てメニューになったか
連休が明けて、5月の中頃になると、ダッチオーブンを使った煮込み料理に「鯖のマスタードソース煮込み」が登場する。
ベースのベシャメルソースからダッチオーブンで手作りする、レモンとワインヴィネガーの酸味の効いた、白ワインに良く合う一品です。
この煮込み料理、実は学生の頃、当時新宿のクイーンズ伊勢丹(現在は閉店)にしか置いていなかった(と記憶している)、北欧産の「鯖のマスタードソース缶」から着想を得ている。そう缶詰である。(缶詰といっても、実際にそれを再現しようとすると、とても手間がかかるのだが)
これとフランスパンと白ワインでやるのが、僕の大のお気に入りで、4畳半一間の下宿で、一人音楽を聴きながら、むしゃむしゃとやるのが至福の時間だった。
そういえば、うちのメニューは、その着想の発端はどこからきているかと振り返ってみると、案外日常の「他愛ない」出来事からきているものが多い。
定番の煮込み料理「挽肉と豆のスパイス味噌煮込み」は、アメリカのTV「ローハイド」でグツグツ煮える鉄鍋からクリント・イーストウッドが美味そうに食べるのを観て、「ダッチオーブンにはやっぱり豆の煮込みでしょ。」と勝手に思い込んでメニューにした。
夏の人気カクテル「フローズン・桃・マルガリータ」は、ジャック・ニコルソン主演の映画「恋愛適齢期」(だったと思う)で、主人公の言った「あの夏飲んだ、フローズン・ピーチ・マルガリータの味が忘れられない・・・」という台詞からヒントを得ている。
また、うちの看板メニュー「干し玉葱とトマトのピッザ」は、以前大先輩の BARのママさんと、とある近所の BARの話をしていて、「あそこの BARのマスターが作るピッザが、せこくってせこくって(笑。具なんかちょこっとしか乗ってなくて。でもそれが不思議と美味いのよねえ。」という会話からきている。
当時僕らが食べるピッザといえば、ド◯ノピザなどの宅配ピッザが全盛で、何だか色んな具材がやたらと乗っていて、美味しそうではあるのだが、やはり酒のつまみのピッザとしては少々「重い」。やはり BARのピッザはシンプルなのがいい。
と、まあこんな感じで、缶詰やTVや映画のワンシーン、日常の会話など、どれも「他愛ない」ものが着想の発端であることが多い。
そしてこんな「他愛ない」出発点の方が、その後の評判が良かったりする。
それって、何かに似ていると思ったら、
この「note」のテーマもそのような気がする。
着想は「他愛ない」ものでいいのかもしれない。
それをいかに「自分のもの」にしていくか。
それが大事なのかも、と思ってきている。
神保町にお越しの際は、是非お立ち寄りください。
その「他愛のない」ものに気づくのがなかなか難しいのですが・・。
お待ちしております。
Kane / High Noon Rush
High Noon Rush
2017
(本文の最後に、お店でよくかける音楽を紹介しています。お家でお酒を飲まれる際に是非どうぞ。今度お店に聴きに来てくださいね。)
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