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本日の読書 #030 「ドーパミンとパーキンソン病」
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参考書籍:『スマホ脳』 アンデシュ・ハンセン
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第三章 スマホは私たちの最新のドラッグである より
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ドーパミン。
脳内伝達物質の一種であり、セロトニンやエンドルフィンなんかと並んで、最近は一般的にも浸透してきている言葉だ。
何かを成し遂げたときに放出される「報酬物質」として知られるが、その他にも何かに釘付けになったり、何かを期待してワクワクしたりする時にも多量に放出される。
スマホの通知やSNSにおける「スキ」や「フォロー」といったものは、このドーパミンを過剰に刺激してしまう。
だから私たちはスマホに夢中になってしまうのだという。
うーん、分かる!
私も、昼休憩でnoteを開いて通知を見るまでの時間はドーパミン漬けになっている自覚がある。
***
ちょっとだけ仕事の話もしてみたい。
医学的には、ドーパミンの低下により引き起こされる「パーキンソン病」という病気がある。
指定難病のひとつで、体が小刻みに震えたり、歩き始めると止まれなくなるなどの症状が起こる。
半年くらい前に、脳外科医の先生の講演会に薬剤師として参加した折に聞いた話が大変興味深かった。
それは、
「パーキンソン病の治療薬は、臨床試験(治験)でコケやすい」
というものだ。
一般に医薬品の臨床試験を行う場合、病気の人を集めて、治療薬の錠剤を投与するグループと、治療薬と称した何の効果もない錠剤を投与するグループとに分ける。
ここで差が生まれればその薬は「効果のある医薬品」となる。
しかしパーキンソン病の治療薬は、この差が出にくいというのだ。
なぜか。
これはパーキンソン病が「ドーパミンが低下した病気」であることと関係する。
つまり偽の薬だったとしても、投与された患者さんは「治療薬だ」と思っているため、「治るかも!」とワクワクしてしまうのだ。
そのワクワクがドーパミンを放出させるため、一時的に症状が軽減してしまうらしい。
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「病は気から」というが、それが科学的にも裏付けられた稀有な事例だ。
この強い影響力を持つドーパミンと上手に付き合っていくことが、私たちにも、子どもたちにも重要になるだろう。
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